新コメットさんの日記 第3章「星国のワールドカップ」

プロローグ

コメットさん:21才。地球から4千万光年離れた3重銀河のトライアング

ル星雲を構成する2番目に大きい銀河、ハモニカ星国の王女。13才の時に

最大の銀河のタンバリン星国のプラネット王子を捜しに地球に向かい、ツ

ヨシ君、ネネちゃんの家に約10ケ月お世話になる。その後再び地球に滞在

するも、現在はハモニカ星国に留学しているツヨシ君、ネネちゃんのお世

話をするために星国に滞在中。バトンを使って主に星国に住む星の子達か

ら集めた「星力」を使う事の出来る「星使い」でもある。17才の時に「輝

きの元である方」と出会い、「愛力(ノーマルバージョン)」も使えるよう

になり、更に20才で、「スーパーバージョン」も使えるようになる。「第

400回トライアングル星雲ティンクルサッカー大会(ワールドカップ)」ハ

モニカ星国代表チームメンバー。

三島圭佑(ケースケ):23才。コメットさんの「星の恋人」。世界一のライ

フセイバーとなる夢をかなえるためにオーストラリアで修業中だったが、

ワールドカップに参加するためにハモニカ星国に向かう。ハモニカ星国代

表チーム主将。

クラリス女王:21才。ハモニカ星国内最大の小星国バイオリン星国の女王。

コメットさんの親友。17才より「愛力(ノーマルバージョン)」も使う事が

出来るようになる。ハモニカ星国代表チームメンバー。

ヒデさん:30才。ハモニカ星国のアニメーションの動画を描いている「動

画ビト」。今はコメットさんの星国での様子をアニメにした「コメットさま☆」の

画を描いている。クラリス女王の恋人。ハモニカ星国代表チームメンバ

ー。

剛(ツヨシ)くん:12才。コメットさんがかつて地球でお世話になった藤

吉家の主人、景太郎パパ達のふたごの兄。ハモニカ星国に留学中。ハモニ

カ星国代表チームメンバー。

寧々(ネネ)ちゃん:12才。同じくふたごの妹。同じくハモニカ星国に留

学中。ハモニカ星国代表チームメンバー。

ラバボー&ラバピョン:コメットさんのお供&ペット。

メテオさん:21才。トライアングル星雲内で一番小さい銀河のカスタネッ

ト星国の王女。コメットさんの大切な友達。コメットさんの後を追って星

国に滞在中。ワールドカップカスタネット星国代表チームメンバー。

今川瞬(イマシュン):24才。メテオさんの恋人で人気歌手。ワールドカ

ップに参加するため星国に向かう。カスタネット星国代表チーム主将。

ムーク:メテオさんのお供。

 

2009 6/21 19:00

 

 わたしはツヨシ君達と一緒にメモリーボールで2010年ワールドカップアジア

最終予選日本VS韓国戦を観ていた。

いいぞ、オフサイドトラップでボールを奪い返したぞ

「なあに、『オフサイド』って?」

「あ、ティンクルサッカーにはオフサイドはなかったね。オフサイドは攻撃側の

選手がゴールキーパーとの間に誰もいない状態でパスを受けることだよ。だから、

『オフサオドトラップ』はDF をあげるなどしてワザとその状態を作り出すこと

なんだ」

「そうなんだ」

 試合はまだ始まったばかりだった。結局後半ロスタイムに劇的なシュートで日

本が勝ち、予選突破に大きく前進した。

「やった〜!!」「すごい〜!」

 喜ぶ2人にわたしは一通の手紙を差し出して言った。

ツヨシ君、ネネちゃん、こっちのワールドカップの正式な案内が来たよ

「やっと?後一週間しかないよ。早く見せて」「私も早くみたい〜」

「はい。各チームのメンバー表はこれ」

と言いながらわたしはツヨシ君にそれを渡した。

 

 星国では地球と同じように4年に一度、ワールドカップと呼ばれるティンクル

サッカー大会が行われる。ティンクルサッカーは基本的には地球のサッカーと似

ているが、星力を使ってプレーし、主に攻撃を担当するフォワード(FW)、ミッド

フィルダー(MF)が合計3人、主に守備を担当するディフェンダー(DF)2人、ゴ

ールキーパー(GK)1人の地球より少ない合計6人で行う。ルールも地球のサッ

カーより簡単で原則としてメンバーの交替は一人しか出来ない代わりに、イエロ

ーカード、レッドカードやオフサイド、ファールなどはない。一方、星力を使え

ばかなりの高さまでジャンプ出来るが、ジャンプの高さは10 mまでと制限され

ていた。ここで各チームのメンバーを紹介しよう。

 まず、もっか2連勝中、ディフェンディングチャンピンのタンバリン星国代表

チームは主将がFWのプラネット王子、MFがカロン君とミラさん、DFがタンバ

リン星国親衛隊長、副隊長、そしてGKが絶対的守備力を誇る守護神、ジュビタ

ー王子だった。ジュビター王子は出場した過去2回の大会においてまだ一度もゴ

ールを許しておらず、固い守備力が特徴のこのチームの要だった。次に前回2

のハモニカ星国代表チームは主将がエースストライカーでFWのケースケ、そし

てもう一人のFWがわたし、MFが親友のクラリス、DFがツヨシ君とネネちゃん、

GKがクラリスの恋人のヒデさんだった。わたし達のチームは攻守のバランスが

とれていることが特徴だった。そして前回3位のカスタネット星国代表チームは

主将がエースストライカーでFWのイマシュン、更にメテオさん、ヤベツさんが

残りのFWという、超攻撃的布陣だった。一方、DFがへの5号、6号、GKがカ

スタネット星国親衛隊長と、守備力にはやや不安があった。

「ひめさま。ケースケ様が到着されました」パンダ隊長の声がした。

ありがとう。ツヨシ君、ネネちゃん、やっとケースケが来たよ。上に行

こう

「行こう!」「行こう」

 わたし達は星のトレインの発着場に向った。

「よお、久しぶり!わるいな、みんな。遅くなっちまって」

「ケースケ!会いたかった。」

僕も!

私の方がも〜っと!

「ハハハ〜☆」

 わたし達が星のトレインを降りたケースケを囲んで笑っていると、突然緑色の

光が差し込んで来た。

「ちょっと、チョット、あんたたち、そんなことしてる場合じゃないんじゃないの?」

「メ、メテオさん!」

「イマシュンもいるボー!」

「やあ、君達、久しぶり。みんな元気そうだね」

「ええ。瞬さん、でもどうしてここに?」

「それはもちろん、このワタクシと一緒にあなたの恋人の後をつけてきた

からにきまっているでしょ〜!コメット!今度は負けないわよ〜。瞬さま

とこのワタクシ、そしてヤベツのトライアングル攻撃で今度の試合はきっ

と勝ってみせるわ!ねえ、シュン〜

 メテオさんはイマシュンの腕をつかんで言った。

「ああ。おれは大会に備えて秘かに練習してきたんだ。ケースケ!今

度は必ずおまえに勝ってみせる!」

「ああそうかい、でもこっちも鍛えてきたんだ。おまえなんかに負けはし

ないぜ」

「まあ、まあ、ふ、二人とも〜そんなこと言わないで〜☆」

「あ、そうだコメットさん。実は明日の夜からカスタネット星国でコンサ

ートをするんだ。ワールドカップの期間中はタンバリン星国でコンサート

をすることになっていて、その後ハモニカ星国でもコンサートをしたいと

思うんだけど、いいかな?」

「ええ。もちろん。わたしからお父様やお母様に話しておくわ。何日位?」

「本当は一週間位オたい所だけど、予定がつまってるから〜。2日が限度

かな」

「わかったわ」

「もう、瞬様ったら〜。とにかく、次の試合が楽しみだわ。じゃあね〜。

ムーク、行くわよ」

「はい、ヒメ様」

「おまえたち、明日から練習するぞ〜。新しいシュートを試してみたいん

だ」

オー!

みんなの気合い十分な声が響き渡った

 

6/22 9:00

 翌日、早速練習が始まった。ワールドカップは3チームのリーグ戦で優勝が争

われ、わたし達のチームは最初にカスタネット星国と、次にタンバリン星国と試

合をすることが既に決まっていた。タンバリン星国戦では少なくとも1点をとり、

最低でも引き分けを狙い、最初の試合のカスタネット星国戦では出来るだけ点差

をつけて勝つこれがわたし達のチームの戦略だった。そのためには絶対的な守

備力を誇るスーパーゴールキーパーのジュピター王子を破る、必殺のシュートを

編み出すことがどうしても必要だった。

 そのためにわたしは分身を出して更にヌイビトさん達に頼んでジュピター王子

風の格好にしてもらった。ただ、ジュピター王子は体格が良くてやや太っていた

ので、本物より一回り小さくなってしまったが。そしてケースケと一緒にGK

のヒデさんと分身の2人のキーパーのいるゴールにシュートを決める練習をした。

 わたし達は互いにパスをかわしながらゴールに迫った。

「ケースケ!」

 わたしはシュートすると見せかけてケースケにラストパスを出した

(挿し絵参照)。

「よし、いくぞ、トルネードシュート!!」

 ケースケはそう叫びながら右足で鋭いシュートを放った。ボールは渦を巻きな

がらゴール左端に向かい、そしてこれを止めようとしたヒデさんの目の前で急に

向きを右に変えた。

「し、しまった!」

 思わずそう言ったヒデさんを完全に抜いたボールはゴール右上に向ったが、ラ

インを割る直前にわたしの分身にキャッチされた。

「く、くそ〜。一人抜いただけか〜」

「そうだね。あれなら相手がカスタネット星国ならゴールだと思うけど、

ジュピター王子なら取ってると思うしね。何かイイ方法はないかしら〜。

 あ、そうだ、ケースケ、わたしいい方法を考えたの。聴いてくれる?」

「ああ。何なに〜。そりゃいい考えだな。簡単には出来ないと思うけど、

早速練習しよう」

 わたし達はパスを回しながら再びゴールを目指した。

「トルネードシュート!!」

ケースケの放ったシュートは今度はゴール右下に向かい、これに反応したヒデさ

んの目の前で急に向きを左に変えた。そしてわたしの分身がこれを取ろうとした

時、

「トルネードウエーブシュート!!」

と叫んだわたしがシュートした。ボールはゴール中央に向ったが、惜しくもバー

に当たってはねかえった。

「ケースケ!2人を抜いたわ!」

「ああ。でもまだタイミングがほんの少しずれてるな。もっと練習しない

と〜」

「ええ」

 それからわたし達は更に練習を続け、5回目にうまくタイミングを合わせるこ

とが出来た。

「ゴー〜〜ル!」

 ツヨシ君の元気な声が響き渡った。

「ケースケ!決まったわ!」

「よし、次はツヨシとネネにも入ってもらって練習しよう。ツヨシ、ネネ、

俺達をマークしろ!」

OK!OK!

 今度はツヨシ君とネネちゃんがDFとして加わって練習が行われた。最初は2

人の動きが気になってなかなかうまくタイミングを合わせることが出来なかった。

「何やってんだ、遅いぞ!」

「ケースケ、ごめ〜ん。ツヨシ君、ネネちゃんの動きが気になってしまっ

て〜」

「オレの動きをよく見ろ!そしてこころで感じるんだ」

「動きを『こころで感じる〜』」

「今のお前ならわかるハズだ。オレが次に何をしたいかも〜。後は自然に

からだが動くハズだ」

「わかったわ。あ、そうだ。こうすれば〜」

 わたしはラブリン変身した。

「よし、次、行くぞ」

「オー!」

 ツヨシ君、ネネちゃんのマークをかわしつつ、ケースケとパスをかわしながら

わたしは幸せを感じていた。大好きなケースケといっしょにプレー出来るこ

とに

(コメット、)

(え?あ、しまった!)

 わずかのスキにツヨシ君にボールを奪われてしまった。

「バ〜カ、油断するな!」

 そうケースケは言うと、ネネちゃんへのパスをカットしてボールを奪い返した。

わたしが再びゴールに迫ると、

(コメット、)さっきの声がまた聞こえて来た。

(ケースケ!あ、ハイ)ケースケにパスを出しながらわたしはこころの中でそ

う答えた。

(お前、やっと少し余裕が出てきたようだな。おっと。ずっと名前を呼ん

でたのに、全然気づかないんだもんな〜)

 ボールを奪いに来たツヨシ君をかわしながらケースケが言う。

(ケースケありがとう)

(そろそろ行くぞ)(ええ)

「トルネードシュート!!」

 ケースケはツヨシ君をフェイントでかわしてシュートした。わたしは一旦

ゴールに向ったボールがカーブして戻ってきた所をジャンプしてネネちゃんを

かわしつつシュートした。

「トルネードウエーブシュート!!」

 今度はうまくタイミングが合い、ボールはわたしの分身の手をかすめてネット

を揺らした。わたしがシュートすることにより、ボールに前に進む力が加えられ、

よりスピードと破壊力が増していた。

「ゴ〜〜ル!!」

 ツヨシ君の気持ちのいい声が響いた〜。

「ケースケ、やったわ!」

 わたしはケースケにハイタッチしながら言った。

「ああ。良く決めたな。今度はクラリス女王に入ってもらう。まずは守備

MFとして、それから攻撃的MFとしてだ」

「クラリス〜!あなたも入って〜。これで全員で練習出来るわ」

「わかったわ。こっちは準備万端よ。早くみんなと一緒に練習したくてウ

ズウズしてたんだから〜」

「そうだよね」

 それからクラリスも加わって練習が始まった。最初はクラリスに守備側に回っ

てもらってわたし達がシュート練習を行った。さすがに3人を抜くのは難しく、

最初はなかなかシュート体勢にも入れなかったが、次第にケースケとの呼吸も合

い、シュートを決めることも出来るようになってきた。次にクラリスに攻撃側に

入ってもらって練習を行った。クラリスが入ったおかげで、攻撃の幅がグンと広

がり、かつかなり高い割合でシュートを決めることが出来るようになった。

「よ〜し!じゃ午後から次の練習を始めよう!」「ハ〜イ!」

 お昼を食べてからわたし達はチームとして、フリーキックやコーナーキック、

相手がシュートしようとした時など、様々な場面を想定した練習を行った。

「よし!今日の練習はここまで!みんな、よく頑張ったな」

「明日からはどうするの?」そうわたしが聞くと、ケースケは

「今日の続きの他に、実戦形式の練習をしようと思う。やっぱり試合を通

して強くなれるからな。明日は2チーム位と練習試合をしたいと思うけど、

大丈夫か?」

と答えた。

「ええ。ハモニカ星国ティンクルサッカー協会会長に話はつけてあるわ。

これから連絡して詳しいことを話そうと思うの」

「そうか。頼んだぞ」

「まかせて」

 わたしはそう言うと、早速ティンクルサッカー協会会長に電話して用件を伝え、

練習試合に出るチームを決めてもらった。そして翌日から試合形式の練習が始ま

った。これを通してわたし達は様々な状況に対応し、最も適切な攻撃パターンを

取りながら相手のディフエンスをかわして確実にシュートを決めることが出来る

ようになっていった。また、チームのメンバー通しがお互いをより近くに感じる

ことが出来るようにもなっていった。

 

6/27 17:00

「ケースケ、何をしているの?」

 カスタネット星国との試合前日、全体練習が終わった後、ひとり黙々とボール

を蹴るケースケにわたしは言った。

「うん、トルネードウエーブシュートが相手に通用しなかった時のために

新しいシュートを開発しようと思ってな。まだ全然イメージわかないけど

〜」

「ケースケ〜。わたし、そういうケースケが大好き。

「お、お前な〜」

 ちょっと顔を赤くしながらケースケが言う。

あはっ☆いよいよ明日だね」

「ああ。そうだな。お互い頑張ろう」

「ええ。ねえ、ケースケ、」

「何だよ」

「ううん、何でもない」

このままずっとこうしていたい

 そう言うのを止めてわたしは遠くを見つめた

その1VSカスタネット星国」へ続く

 

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