新コメットさんの日記 第5章「星国のファッションショー」その2

「決勝」

主な登場人物

コメットさん:21才。ハモニカ星国の王女。ハモニカ星国に留学している

ツヨシ君、ネネちゃんのお世話をするために星国に滞在中。

寧々(ネネ)ちゃん:12才。コメットさんがかつて地球でお世話になった

藤吉家の主人、景太郎パパ達のふたごの妹。ハモニカ星国に留学中。自分

の夢をかなえるために第740回トライアングル星雲ファッションフェス

タ:ウエディングドレスデザインコンテスト予選にハモニカ星国代表モデ

ルとして出場し、決勝に進出する。

剛(ツヨシ)くん:12才。同じくふたごの兄。同じくハモニカ星国に留学

中。

メテオさん:21才。カスタネット星国の王女。ウエディングドレスデザ

インコンテスト予選にカスタネット星国代表モデルとして出場し、1位で

決勝に進出する。

ヒトミさん:26才。カスタネット星国の超人気カリスマデザイナー。ウ

エディングドレスデザインコンテストでメテオさんの担当デザイナーと

り、決勝に進出する。

ユキちゃん:11才。輝きの求道者の娘。ウエディングドレスデザインコ

ンテスト予選地球代表モデル。5才で愛力ノーマルバージョンを、7才で

愛力スーパーバージョンを使えるようになる。8才で小説を書き始め、小

説家となるのが夢。予選3位で惜しくも決勝進出を逃す。

モモさん:30才。ハモニカ星国のトップファッションデザイナーでデザ

イナーレベルは5。ネネちゃんの担当デザイナーとなり、決勝に進出。

ホワイトパールさん:ネネちゃんが決勝で着る純白のドレス。

優衣さん:31才。鎌倉に住む、ウエディングドレスのデザイナー。

ユキちゃんの担当デザイナーとなるも、決勝には進めず。

アマデウスさん:ハモニカ星国王家に仕える、コンテストの司会者。

 

2009 7/28 11:00

(私は控室で元の服に着替えた後、モモさんと一緒にコメットさん達に会

いにいった)

「ネネちゃん、決勝進出おめでとう!とっても良かったよ」

「ありがとう、コメットさん。おかげで元気になったわ」

「良かった。決勝もがんばってね」

「ネネちゃん、決勝進出おめでとう!ちょっと悔しいけど、私の分も頑張

ってね」

「ウン。ユキちゃんもとっても輝いてたよ。あ、お兄ちゃん、どうしたの?

ボーっとしちゃって」

「え、いや〜何でもないよ。ネネ、良かったな。決勝でも頑張れよ」

「お兄ちゃんったら。ほんとはユキちゃんに決勝に行って欲しかったんじ

ゃないの?」

(と私がちょっとからかうように言うと、)

「ち、ちがうよ。2人ともに決まってるじゃないか」

(と言うお兄ちゃんは明らかに動揺していた)

「ちょっと、あんたたち、何話してんのよ!」

「メテオさん」

「どう?予想通り私がトップになったわ。これで『わたくし』の勝ちは決

まったようなものね。まあ、ひとのことをからかっているようなあなたが

私に勝てるハズもないケド…。決勝が楽しみだわ。じゃあね〜」

(メテオさんは一瞬コメットさんの方を見た後、ヒトミさんと一緒に去っ

ていった。私は大きなショックを受け、何も言い返すことが出来なかった。

悔しいけれど、その言葉は正しい、と認めざるを得なかった…)

「ネネちゃん、(メテオ様の言葉は)あんまり気にしなくていいと思うわ。

決勝はまだこれからだし〜」

「モモさんは私の頭に優しく手を置いて言った」

「モモさん〜」

(私は思わずモモさんに抱きついた)

 

11:30

 (私はみんなと一緒に少し早めのお昼を食べた後、コメットさん達と別

れて控室に行き、ヌイビトさん達に髪の毛を整えてもらってからいよいよ

ホワイトパールさんを着せてもらった。さすがに少し緊張してくる。そ

んな私にモモさんが声をかけてきた)

「緊張してる?大丈夫よ。ミントも加えておいたから。予選の時と同じよ

うにやってくれればいいわ。私が合図したらステージに出て」

「わかったわ」

(私は少し落ち着きを取り戻して答えた。12時半になる直前、モモさん

の合図に従って私はステージにった。その直後、司会者が登場して言

た)

「みなさん、お待たせしました!これよりいよいよ決勝を行います。まず

は予選第二位のネネさんに登場して頂きます!」

(司会者の声の直後、私はピンク色の輝きに包まれ、

それからゆっくりとステージを歩き始めた。とても気持ち良く、ハーブの

おかげもあって程良い緊張感を味わっていた。そして予選の時以上に

ドレスの行きたい方向がわかるようになっていた)

このドレスはノースリーブのAラインのドレスで、らせん状にあしら

われた真珠がアクセンとなっています。薄く、シンプルなベールは床に

届く長さで、グローブは二の腕までの長さですー」

(「ほんとうにキレイー。」私はからだが震える程の感動を味わっていた。

そしてそれが会場内にも伝わっていることも感じていた。司会者も一瞬言

葉を失っていた。

「なんて気持ちがいいだろう。ホワイトパールさん、ありがとう。私、

夢をかなえたわ」

私は思わずホワイトパールさんに呼びかけていた)

(「いえ、こちらこそ。私もとってもイイ気持ちだわ」)

ブーケにはティンクルモモ、ローズマリーに加えて頭をクリヤーに

るのに効果的なミントも使われていますー」

(司会者がそう言った時、ちょうどステージの端に来ていた私はクルっと

一回転した。すると一瞬真珠の輝きに包まれ、更にその輝きがうずを巻く

ように会場内に広がっていった。私も会場内の人々も驚きに包まれた。そ

して数秒後に輝きが消えた後、自然と嵐のような拍手が沸き起こった。私

はゆっくりと自分の所定の位置に戻った…)

 

わたしはここで再びメテオさんのこころの声を聴いてみた…

(「…何なのよ、何なのよ、これは〜」私はあの()から放たれる輝きを見な

がら思った。それは、予選の時とは明らかに違っていた。「こんなハズじゃ

ないワ。このままでは負けてしまうわ。何とかしなきゃ〜、そうだ、恋力

を使えばいいだわ。瞬、お願い!」)

メテオさんこころの声がそう言った直後、照明がネネちゃんから

メテオさんに切り替わり、緑色の輝きに包まれた。

「続きまして、予選をトップで通過された、メテオ様のご登場です!

このドレスは長袖のAラインで、グローブはなく、アクセントとして胸

のスペード、クラブ、ダイヤ、ハートの模様と、流れ星をイメージした飾

りがあしらわれていますー」

(私は会場の雰囲気が次第に変わるのを感じた。そしてステージの先端で

向きを変える頃にはフラッシュ等がたかれる中、「やった、これで勝てる」

と思った。)

ブーケにはティンクルモモ、カスタネットローズなどがあしらわれて

います

(私は確かな手応えを感じながら通路をゆっくりと歩き、所定の位置に

いた。嵐のような拍手が会場内を包んだ)

さあ、これから審査に入ります。皆様には2人を改めて観て頂き、10

後に投票を開始します。果たして、2人のどちらが優勝するのでしょう

か?」

コメットさん、どっちが優勝すると思う?」

司会者の言葉の後、ツヨシ君が聞いてきた。

「ウ〜ン、やっぱりネネちゃんだと想うけど…ツヨシ君は?」

メテオさんかも」

「私はネネちゃんが勝つと想うわ。接戦になると思うけど」

ツヨシ君の隣にいたユキちゃんがった。

「どうして?」 

「さっき『輝きの元である方』が教えて下さっただもの。それに、私自

身もそう思うもの。もうすぐわかるけど…l

ちょっと自信がありそうにユキちゃんは答えた…

 

12:50

10分後、

時間になりました。これから投票して頂きますが、その前にそれぞれの

デザイナーにご登場頂き、ドレスについて説明して頂きます」

と司会者が言った。

まずはハモニカ星国代表のモモさん!」

司会者の声とともにピンク色の光を浴びながらモモさんがステージに現れ

た。会場内は大きな、暖かい拍手に包まれた。

それではこのドレスの特長と皆さんに観て頂きたいポイントについて説

明頂きたいと思います」

このドレスは『シンプルかつ清楚』をテーマに、モデルのネネさんの『理

想のドレス』として創りました。皆さんに観て頂きたいのはこの、真珠の

輝き。『天国への階段』をイメージして円を描くように上っています」

「モモさん、ネネさんありがとうございました。では次にカスタネット星

国代表のヒトミさん!」

緑色の輝きに包まれながらヒトミさんが現れると、会場内の空気が微妙に

変わり、ヒトミさんからのちょっと威圧的なオーラが会場内に広がると場

内は静まりかえった。

それではこのドレスについて先程と同様にお願いいたします」

このドレスは『ゴージャス&優雅』をテーマ、メテオ様の輝きを最大

限に引き出すためにこの私が創り出した『完璧なドレス』よ。一番観て頂

きたいのはメテオ様御自身をイメージしたこの胸飾りだけど、ゴージャス

なブーケと全体のバランスも観て頂きたいわ」

ヒトミさんは自信たっぷりに答えた。

「ヒトミさん、ありがとうございました!それでは、いよいよこれから

ず、会場内の皆さんに投票して頂きます!どうぞ!」

という司会者の声の直後、2人の上に表示されたカウンターが目まぐる

く動き始めた。わたし達はその動きをかたずを飲んで見守っていた。

「結果が出ました!ネネさん25164票、メテオ様24836票です!

これをポイントに換算しますと、それぞれ25ポイント、同点です!よっ

て優勝はこの後の審査員の票によって決まることになりました!」

これを受けて、歓声こそ挙がらなかったものの、会場内が静かにヒートア

ップしているのをひしひしと感じた。一方、わたしがメテオさん達の方に

目をやると、ネネちゃんの方が得票数が多かったためか、2人ともかなり

ショックを受けているようだった。メテオさんの「心の声」は改めて聴く

までもなく、このように言っていた。

(「な、何であの()の方得票多いの。信じられない

一方、ネネちゃんのこころの声を聴いてみると、

(「私の方が少しだけ得票数が多いわ。でもまだ同点だし、油断出来ない

」)

と言っていた。

「それでは次に審査員の皆様、投票をお願いします!結果が出ました!

ネネさん25ポイント、メテオ様25ポイント、合計それぞれ50ポイン

ト、何と同点です!」

会場は沸き立った。

「この場合はシエスタ審査委員長の票で優勝が決まります!果たしてどち

らが優勝するのか、それでは、審査委員長の票を加えて下さい!!」

司会者の言葉に、会場は再び静まりかえり、直後に、音楽と共に2人のポ

イントを示す数字が激しく動き始めた。会場内の空気が張り詰める。間も

なく音楽が止み、同時に数字が止まった。ネネちゃんの上の数字だけが前

と変わっていた。

「審査委員長の票はネネさんに入りました!これで、ネネさん51ポイン

ト、メテオ様50ポイント、ネネさんの優勝です!!!」

そのとたん、司会者の言葉を待っていたかのように会場内はものすごい

歓声に包まれた。ネネちゃんとモモさんはとても嬉しそうな顔をしていた

が、一方、メテオさんとヒトミさんは呆然としていた。しかし、それから

数分後、歓声がようやくおさまってきた頃、                                                    

「チョット、チョット、どうしてこの『わたくし』が着ている、完璧な

ずのドレスがあの()に負けなきゃいけないのよ、シエスタ審査委員長、納

得出来るように説明なさい!」

という、メテオさんの声が聞こえた。会場内は再び水をうったように静か

になった。

「メテオ様。確かにご説明がまだでしたな。それでは申し上げます。あな

た様が着ておられる、このドレスはトライアングル星雲最高のティンクル

デザイイナー・ヒトミ様が創られた『完璧な』もので、確かに素晴らしい

輝きです。しかし、たった一つ欠けたものがございます。それは

これを着るメテオ様とドレスとの『一体感』です。

ドレスにはそのドレスに固有の最も自然な動き、その『ドレスの行きたい

方向』があります。モデルがこの『ドレスの声』を聴き、ドレスと一体と

なった動きをする時、そのドレスもモデルも最も輝くことが出来ます。

 メテオ様。予選ではドレスの声を聞くことがお出来になられていたよう

ですが、決勝では『こころの乱れ』があり、『ドレスの声』を十分お聴き

になれなかったのではないですか。そのため、歩かれた時に、ドレス

と一体となった動きをすることが出来ず、ドレスにわずかにシワが

よってしまったのではないかと思います。

 一方、ネネさんはドレスにあしらわれたこころを落ち着かせるハーブの

効果もあって、ドレスと『こころ』が一体となっており、ドレス固有の最も

自然な動きが出来ていました。更にこの心地よい香りは会場内にも

広がり、ドレスとネネさんだけでなく、会場の方々の『こころ』をも一つ

にするのに大いに貢献したものと思われます。会場内の方々の票が

メテオ様のドレスをわずかに上回ったのもこのためではないかと

思われます。以上です」

シエスタ審査委員長の凛とした声が会場内に響き渡った。わたしは

(「さすが、良く観ているわね」)

と感心した。

「わかったわ。もっと『ドレスの声』に耳を傾けるようになら

なければいけない、ってことね」

メテオさんはそれだけ言うとヒトミさんと一緒にステージから姿を消した。

でも2人ともどこかスッキリとした表情だったので、少し安心した。

「それではここで改めて優勝者を紹介したいと思います。ネネさんで

す!」

司会者が言ったとたん、会場内はものすごい歓声に包まれ、数分間続いた。

それがおさまった後、司会者がネネちゃんにマイクを向けた。

「おめでとうございます。今の率直な気持ちをお聞かせ下さい」

「ありがとうございます。こうして自分の夢をかなえることが出来てと

も嬉しいです。こんな素敵なドレスを創って下さったモモさんやヌイビ

トさん、そして今私が着ているホワイトパールさんにも感謝したいと思い

ます

ネネちゃんはとても嬉しそうに答えた。

「さあ、それではシエスタ審査委員長から賞品の『自分の夢をかなえる

けの輝き』を受け取って頂きます。今回はバトンに充填いたしますので、

バトンの用意をよろしくお願いします。それから、予選と決勝で着て頂

たドレスも副賞として贈られます」

司会者の言葉の後、シエスタ審査委員長からネネちゃんが出したバトンに

ピンク色の輝きが贈られた。

「これは何に使われますか」

「はい。私はウエディングドレス以外のものも着てファッションショーに

出てみたいので、これはそのために使いたいと思います」

「ありとうございました!それではこれでウエディングデザインコンテ

ストを終了したいと思います!皆様もう一度大きな拍手をお願い致します

!」

司会者の声が響きわたると、会場は再びもの凄い拍手に包まれた…。

 

7/22 9:00

 

 あれから数時間後、同じ会場で、ネネちゃんのファッションショーが行

われた。洋服や和服、更にはティンクル・ファッションなど、様々な衣裳

を身に着けたネネちゃんはとてもカワイく、満足そうだった。次の日、朝

食をすませたわたし達はユキちゃんと優衣さんを見送りに星のトレインの

プラットホームにった。

「じゃあ、2人とも元気でね。来月になったらそっちに行くから」

「ええ。楽しみにしてるわ

「ハイ。引っ越しの準備も進んできていますがまだまだで〜、今度はちょ

っと狭くなってしまうけど…。落ち着いたら、新しい家にも来て下さい」

とユキちゃんは元気に答えてくれた。ユキちゃん達は来月下旬に千葉県の

マンションに引っ越すことになっており、その直後に戻って来た私達が保

育士試験までの間、一時的に住むことになっていた。

「ええ。楽しみにしているわ。ご両親によろしく

「ハイ。では、コメットさん、さようなら」

「元気でね」

「ユキちゃん、短い間だったけれど、とっても楽しかったわ。来月地球で

また会いましょう」

エエ。ネネちゃん、私もとっても楽しかったわ。それからツヨシ君、ツ

ヨシロボにも乗せてくれてどうもありがとう。とても楽しかったわ。大好

きよ」

「ユ、ユキちゃん…

ちょっと恥ずかしそうに言うツヨシ君の様子がおかしくて、わたしも思わ

ず笑ってしまった。ツヨシ君の頬は真っ赤になってしまったが、ユキちゃ

んの方は動じることもなく、

「また『デート』しましょう。じゃあ、さようなら。優衣さん、行きまし

ょう」

と元気に言った。

「ええ。ではみなさん、さようなら」

優衣さんはそう言うと、ユキちゃんと一緒に手を振りながら星のトレイン

に乗り込んだ。すぐにドアがしまった。

さようなら〜

わたし達が手を振ると2人も客車内から手を振ってくれた。間もなく汽笛

が鳴り、列車が動き始めた。やがて星のトレインは光のすじとなり、ワー

プしていった。ツヨシ君はホームの端で、列車の消えた辺りをしばらく

っとながめていた…「最終章プロローグ」に続く…

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