新コメットさんの日記 第5章「星国のファッションショー」プロローグ

後半

主な登場人物

コメットさん:21才。ハモニカ星国の王女。ハモニカ星国に留学している

ツヨシ君、ネネちゃんのお世話をするために星国に滞在中。

寧々(ネネ)ちゃん:12才。コメットさんがかつて地球でお世話になった

藤吉家の主人、景太郎パパ達のふたごの妹。ハモニカ星国に留学中。自分

の夢をかなえるために第740回トライアングル星雲ファッションフェス

タ:ウエディングドレスデザインコンテスト予選にハモニカ星国代表モデ

ルとして参加する。エトワール城で行われるファッションショーに参加す

るため、モモさんと一緒に会場に向かう。

剛(ツヨシ)くん:12才。同じくふたごの兄。同じくハモニカ星国に留学

中。

ユキちゃん:11才。輝きの求道者の娘。ウエディングドレスデザインコ

ンテスト予選地球代表モデル。5才で愛力ノーマルバージョンを、7才で

愛力スーパーバージョンを使えるようになる。

モモさん:30才。ハモニカ星国のトップファッションデザイナーでデザイナーレベルは5。ハモニカ星国の首都、エトワールの中心街にブティッ

クを持ち、ハモニカ星国王家のデザインも担当する。ネネちゃんの担当デ

ザイナーとなる。アロマテラピストでもある。ヒトミさん、リカさんの友

人。

優衣さん:31才。鎌倉に住む、ウエディングドレスのデザイナー。

2002年6月に結婚し、5才の男の子がいる。かつてコメットさん、メ

テオさん、ツヨシ君、ネネちゃんのファッションデザインをする。ユキち

ゃんの担当デザイナーとなる。デザイナーレベルは4。

 

2009 7/14 12:37

 

(私達はエトワール城のすぐ近くに降り立った。目の前には七色に光る高

さが30 mもある城壁が広がっていた)

「ネネちゃん、あそこから中に入るの。時間がないから、急ぎましょう」

「はい」

(私はモモさんについて、大きな正門の左わきにある、通用門に向かった。

正門は閉じていたが、こちらは開いていて多くのホシビトや星使いが出入

りしていた。モモさんは門番のホシビトに何か話した後、手招きした)

「ネネちゃん、こっち、こっち」

(私は急いでモモさんに追い付くと、通用門の中に入った)
「ネネちゃん、歩いてお城の中に入る時間がないから、ここから行きまし

ょう」

(モモさんはティンクル・ペンをふって星のトンネルを出すと、中に入っってい

った。私も急いで後に続いた。星のトンネルを出ると、幾つかの小さな部屋があ

り、ピンク色を中心とした服を着たモデルがたくさんいた。モモさんはその一人

ひとりに声をかけながら、他のスタッフにも細かい指示を出していた)

「うわ〜スゴーイ!人がいっぱい!」

「ええ、そうね。でももうすぐ始まるショーには、もっとたくさんの人が

集まるのよ」

「へ〜そうなんだ。どの位集まるの?」

「ハモニカ星国中から、ざっと一万人くらい。さ、ネネちゃんにはこれを

着てもらおうかな。ヌイビトさん達、お願い!」

ハ〜イ!イヌイしますですの〜!

(という声の後、赤、青、緑の3人のヌイビトさんがやってきて、私の周

囲を飛び始めた。たちまち私はピンク色の輝きに包まれ、それが晴れると

ピンク色のシャツとスカートを着ていた。シャツの胸の辺りには黄色い星が

デザインされていた)

「キレイ〜☆。モモさん、ありがとう」

「どういたしまして。これは、ティンクル・モモをイメージしたのよ」

「そうなんですか〜」

「ウン、これでいいみたいね。この後ショーを観てもらうけど、ショーは

約1時間半で、ネネちゃん、あなたの出番は前半の最後だから15分位前

にここに来てくれる?スタッフが迎えにくるから」

「ハイ!」(私は元気よく答えた)

「じゃあ、姫様達が来られたら、ロイヤルボックスに案内するわ。それか

ら、今日のショーは地球と同じ形式だから、出番が来たらステージに出て、

ゆっくり歩きながらステージの端まで行って『くるっと』向きを変えるの。

後は戻るだけだからそんなに難しくないわ」

「わかりました」

「あ、どうやら到着されたようね。行きましょ」

(モモさんはスタッフが合図するのを見て言った。それから私を一旦元の

姿に戻し、会場に向かった)

 

12:57

(私とモモさんは途中でコメットさんとおにいちゃんと合流し、会場内に

入った。場内は既に一杯で、カメラやメモリーボールを持った報道関係と

思われる人の姿もあった。モモさんはティンクル・ペンを振って私達のた

めにロイヤルボックスを用意してくれた。私達がロイヤルボックスに乗り

込むと、空中に舞い上がったので、びっくりした)

「わあ、スゴ〜イ!」

「良く見えるでしょ〜」

(コメットさんはステージ裏に向かうモモさんに向かって手を振りながら言っ

た)

「さ、もうすぐ始まるよ」

(コメットさんがそう言って間もなく、ステージに司会者が出て来て言った)

「皆さんこんにちは。本日はティンクルファッションデザイナー、モモの

ファションショーへようこそ。ウエディングドレスデザインコンテストを

2週間後に控えて、皆様にモモの世界を存分に味わって頂きたいと思いま

す。本日のプログラムは後半がウエディングドレス、前半がそれ以外のも

のとなっております。まずは水着から御覧下さい!」

(すると、ピンク色や赤紫色を中心にした、ビキニやノンセパレートタイ

プなど、様々なタイプの水着を着たモデル達が次々に登場した。中には肩

の部分が透明になったものもあった。次に大人のスカートやシャツ、ズボ

ンなどが紹介された。それが終わる少し前に小鳥がこちらに向かってきて、

棒のようなものを振ったと思ったら、自分も小鳥になっていた。そのとた

ん)

「ネネ様、お迎えにきました。急いでこちらに」

(とさっきの小鳥が言うのが聞こえたのびっくりした。急いで後につい

ていくと、ステージ裏のさっき部屋に来ていた。すぐにモモさんが出て

来て、私をピンク色のシャツとスカート姿に戻してくれた)

「ご免なさいね。でもあまり目立たずにここに来てもらうにはああするしかなか

ったから〜。これから子供服のショーが始まるけど、小さい子から順にやる

からもう少し待っていてね」

(モモさんは他のスタッフに指示を出しながらちょっと申し訳なさそうに

言った。いよいよなんだ。そう思うとちょっと緊張する。まわりにはいつ

の間にか出番を待つ子供達がたくさん集まっていた)

「さあ、みんな、順番に並んで、用意はいい?」

(モモさんは子供たちにやさしく語りかけた)

「ハイ!」

「じゃあ、あなたから、ここからあのステージの一番前までゆっくり歩い

ていくのよ。次に私ェ合図したら今度はあなたが歩いていくのよ。

いい?」

(モモさんは先頭と2番目の、3才くらいの子供達に念を押した)

「ハイ、わかりました」

(2人がそう答えるとすぐにモモさんはスタッフに合図をした)

 

「続いてこれからは前半最後のプログラム、子供服のショーをご覧下さ

い」

「ツヨシ君、もうすぐネネちゃんが出てくるよ」

(司会者の声を聞いてわたしが言った)Z

「そうなんだ。僕も出たかったな〜」

「そうだね。でもこれは、ネネちゃんにとってはウエディングドレスデザ

インコンテスト本番に向けたいい勉強になると思う。でも、それ以上に、

やっとネネちゃんの夢がかなうんだもの。一番着たいのはウエディングド

レスだろうから、本当にかなうのはコンテスト当日になると思うけど。と

にかく、ネネちゃんを応援しよ」

「ウン」

(ツヨシ君はそううなずいてステージをじっと見つめていた…)

 

(子供服のショーが始まり、小さい子から順に次々とステージに出て行っ

た。一方、それから少しして出た順に戻ってきた。どの顔も輝いていた。

モモさんも嬉しそうだった。私はこの時点で、ショーの成功を確信した。

やがて、出番を待つ子供の数が減って行き、とうとう私だけになった)

「そして、最後のモデルはウエディングドレスデザインコンテストにも出

場予定の地球から来たネネちゃんです!」

(司会者の言葉とともに私はステージに進み出ていた。

「がんばってね」というモモさんの声が聞こえたような気がした。うれし

かった)

「モモとネネちゃんのお気に入りの花、ティンクル・モモをイメージした

シャツとスカートです…」
(ゆっくり歩きながら周りを見回すと、たくさんの人々がこちらを見てい

た。カメラのようなものをこちらに向けている人もいた。気持ち良かった)

「シャツの胸にはアクセントとして星がデザインされており、肩には半透

明のフリルがついています…」

(ステージの先端に達オた私がくるっと一回転すると、スカートのすそと

フリルがフワっと持ち上がり、おおっ」

というどよめきがあがった。とってもイイ気持ちだった。少しホットしな

がら元来た道を帰って行く。最後に自然と後ろを振り返って手を振った。

同時に大きな拍手が沸き起こった)

「ネネちゃん、スゴイ、スゴイ〜!すごく良かったよ」

(戻って来た私にモモさんはとても嬉しそうに言った。私もとても嬉し

った)

「これから5分間の休憩よ。会場に戻りましょ」

(モモさんは私を元の姿に戻すと言った。それから会場内に戻り、ロイヤ

ルボックスに戻ったが、コメットさんやお兄ちゃんも、モモさんと同じよ

うに言ってくれ、嬉しかった)

「もうすぐ後半が始まるよ。今度はウエディングドレスだね。最初は確か

色ドレスだと思うけど」

「モモさんもそう言ってたわ」

(私が言ってステージを見ると司会者が出て来て言った)

「これから後半のショーを始めます。最初はピンク色のウエディングドレ

スです」

(すると、シンプルなデザインの、ピンク色のドレスを着たモデルさん達

が現れ、近付いてきた)

「キレイ〜」

(私は自分がウエディングドレスデザインコンテストで着ることを想像し

ながら言った。それから赤や黄色など、他の色のドレスを着たモデルさん

が次々と現れ、ドレスを披露していった。その美しさに私の目は釘付けに

なっていた)

「キレイだね〜。ネネちゃん、これからはいよいよ純白のドレスだよ」

「そうなんだ」

(私は思わずハっと我に返って言った)

「そして最後は純白のウエディングドレスです」

(司会者の言葉と共にプリンセスラインのウエディングドレスを着たモデ

ルさんが登場した。その美しさに私は衝撃を受けた)

「ス、スゴイ〜」

(華やかなドレスを始め、ひじを少し超える位のグローブ、ピンクと白を

中心としたブーケなど、どれもモデルさんにピッタリあっていて、まぶし

い程の輝きだった)

「わ〜あ。」

(私がしばし見とれていると、続いてAラインやマーメイドラインなど、

様々なタイプのドレスをまとったモデルさん達が次々にステージに現れた。

そして最後にノースリーブで一面に花をあしらった、スレンダーラインの

ドレスを着たモデルさんが登場すると、会場が驚きと感嘆に包まれた。私

は息をのんだ。モデルさんはゆっくりとステージの端に向かって歩いてい

った。「私もこんなドレスを着てみたい〜」そう思った…)

「これで本日のショーを終了いたします。皆様。本日はご覧頂き、どうも

ありがとうございました」

(司会者の声と共にモモさんを始め、モデルさん達が登場した、と思った

らモモさんがティンクルペンをこちらに向けて振った)

「エ?」

(あっと言う間に私はピンク色の光に包まれ、ショーの時つけていた衣装

を着ていた。驚いたことに立ったままいつの間にかステージに向かって降

りてきていた。「ど、どうして?」と足元を見ると、星力がスカートのすそ

まで包み込んでいて、下から中が見えないようになっていた。みんなの視

線を感じ、ちょっぴり恥ずかしく思いながらも、とても気持ち良かった。

ゆっくりとステージに降り立った私は自然と目の前の観客に向かって手を

振った。場内は大きな拍手と歓声に包まれた。見ると他のモデルさん達も

手を振っていた。最後にみんなでおじぎをすると、幕が降りてきた)

「モモさん、ショーの成功おめでとうございます。すごく良かったです。

ご苦労様でした」

「ありがとう。ネネちゃんもとっても良かったわよ。今日の授業はこれで

おしまい。でもこの後Aまた私のブティックに来てくれる?」

「もちろん!」

(私はちょっとイタズラっぽく笑いながら、元気に応えた…)

 

16:00

(私はコメットさん達と一緒に一旦星のお城に戻った後、コメットさんに

モモさんのブティックに通じる星のトンネルを開けてもらって一人でブテ

ィックの前まで来た)

「モモさん、こんにちは。ネネです」

(私はドアを開けて中に入った)

「ネネちゃん、こんにちは。じゃあ、早速「理想のドレス創りの準備をし

よう。今度はどんなウエディングドレスが着てみたい?」

「さっきのショーでモデルさんが着ていたドレスがいい」

「そう、じゃあ、ヌイビトさん達、お願い!」

(モモさんがそう言うと)

ハ〜イ!ヌイヌイしますですの〜!

(と言いながら5人のヌイビトさん達がやってきて、私の周りを飛び始め

た。私はたちまち光に包まれた)

「うわあ〜キレイ〜〜」

(輝きが晴れると私は思わず声をあげた。私は小さい花が一面にあしらわ

れた、純白のドレスを着ていた。床までの長さのシンプルなベールとひじを

少し超える位のグローブをし、ティンクル・モモとスズランに似た白い花

を中心としたブーケを持っていた)

「最初のドレスよりはいいわね。でも、まだちょっと合わない気がするわ」

(モモさんの言葉はちょっと意外だった)

「ほんと?」

「ええ。こんな感じはどうかしら」

(そう言ってモモさんは新しいデザインのドレスのイラストを描き、着せ

てくれたが、どうもしっくりこなかった。それからいくつか着てみたが、

最初のものより良い感じのものはなかった)

「ウ〜ン、これも違うわね〜。ウエディングドレスの方は今日はこれ位に

して、今度は予選で着る色ドレスを考えましょ。どんなドレスがいい?」

「エ〜と、まず色はピンクで、半袖。グローブはひじ位までの長さのもの

がいい」

「わかったわ。こんな感じでどう?」

(そう言ってモモさんはティンクル・ペンを振り、ドレスを着せてくれた。

私はなかなかカワイイと思ったが、モモさんは、「やっぱりあなたにはこっ

ちの方が似合うみたいね」と言って再びティンクル・ペンを振った。

(「エ?」いきなりピンクの輝きに包まれ、ちょっと驚いたが、輝きが晴れ

ると、ブルーのドレスを着ていた)

「色はこっちの方が合うみたいね。でも、このドレスの場合は長袖の方が

イイみたいだわ。こんな感じでどうかしら?」

(モモさんはティンクル・ペンを振り、長袖で首の周りに白い花の模様が

あしらわれたブルーのドレスのイラストを描いた)

「ン、青はもう少し薄い方がいいわね〜。ヌイビトさん達、お願い!」 

ハ〜イ!

(私は再び光に包まれ、今度は水色のドレスを着ていた。長袖で、グロー

ブはしていなかったが、ティンクル・モモと白い花を中心としたブーケを

持っていた。私はすぐにこれまでとは違った感じがすることに気付いてい

た。今初めて着たハズなのに、まるで、ずっと前から着ていたような、自

然で落ち着いた感じがしていた)

「モモさん、私…」

「そう、これが『理想のドレス』なの」

(モモさんは私の言葉をさえぎるように言った)

「やっぱり。嬉しい〜」

「こんなに早く見つかることは珍しいんだけど。運が良かったんだと思う

わ。でも、まだあなたは『ドレスが着れていない』ようね」

「え?どういうこと?」

「そのうち分かるわ。まずはドレスを着ることに『慣れる』ことね。それ

からドレスと仲良くなれれば…」
「ドレスとお話しできるかもしれない?」

「エエ」

(私が尋ねると、モモさんはうなずきながらそう答えた)

 

7/21 9:55

(それから、私はモモさんのブティックに毎日通って様々なデザインのウ

エディングドレスを着てみたが、『理想のドレス』はなかなか見つからなか

った」

「お兄ちゃん、何そわそわしてんの?」

(私はコメットさんの部屋に向かう途中、お兄ちゃんの様子がいつもと違

うことに気付いて言った)
「え、いや、別に。何でもないよ」

「あ〜そう言えば今日はユキちゃんが来る日だわ。お兄ちゃん、だからな

んでしょ〜」

そ、そんなことないよ」

(私がちょっとからかうように言うと、お兄ちゃんは顔を真っ赤にしなが

らそう答えた。でも、私が「あ〜赤くなってる〜」と更につっこもうとし

た時、部屋からコメットさんが出て来て言った)

「ツヨシ君、ネネちゃん、ユキちゃんと優衣さんがもうすぐ到着するそう

だから、迎えにいこ」

「ウン。でもコメットさん、今日は何を勉強するの?」

「今日はお休み。わたしは優衣さんとお話ししたいし、ネネちゃん達もユ

キちゃんと遊びたいでしょ?」

もちろん!」(私達はそう答えて星のトレインの発着場に向かった)

 

10:01 

(発着場に着いてみると、ちょうど星のトレインが到着した所だった。す

ぐに列車のドアが開いて2人が降りてきた

「お〜い!」

(私達は手を振りながらユキちゃん達の元に駆け寄った)

「ツヨシ君、ネネちゃん、久しぶり〜。元気だった?」

「ウン。ユキちゃんも元気そうね」

「ええ。あ、コメットさん、こんにちは。お世話になります」

「こんにちは。ユキちゃん。久しぶりだね。お父さんは元気?」

「はい。『コメットさんによろしく』って言ってました」

「そう…。優衣さんも久しぶり。お子さんは元気?」

「ええ。もう5才になったのよ」

「そうなんだ。来月には地球に戻るから、会いに行くね」

「ええ。楽しみにしてるわ」

「ユキちゃん、また会えてうれしいよ」

(お兄ちゃんがちょっと恥ずかしそうに言った)

「ツヨシ君、私も」

(ユキちゃんはすぐに答えた)

「ユキちゃん、優衣さん、2人の泊まる部屋を案内するね」

「ハ〜イ!」

(ユキちゃんの元気な声が響いた…)

 

13:00

 (それから私達は3人でお互いの近況を話したり、遊んだりした後、コ

メットさん達と一緒に食堂でお昼を食べた)

「ねえ、ネネちゃん、ウエディングドレスデザインコンテストで着るドレ

スはもう決まった?私はもう2つとも決まったけど」

(とユキちゃんが聞いてきた)

「色ドレスは決まったけれど、純白のドレスがなかなか決まらなくて…」

(私は少し声のトーンを落として答えた)

「フ〜ン、ネネちゃん、ウエディングドレスって誰のために着るものだと

思う?」

「え?エ〜っと〜」

(私が答えあぐねていると、)

「私は『一番大切なひとのため』だと思うわ」

(とユキちゃんが言った。これを聞いて私はハっとした。私の中で何かが

変わるのを感じた)

「ありがとう、ユキちゃん。とても参考になったわ。あ、これからモモさ

んのブティックに行くんだけど、ユキちゃんも一緒に来ない?」

「そうしたいとこだけど、出来ないわ」

「どうして?」

「だって、ネネちゃんはそこで『理想のドレス探し』をするんでしょ?私

もコンテストに出るんだから、コンテストが始まる前にネネちゃんのドレ

ス姿を見るワケにいかないでしょ?」

「そ、そうだね」

「それに、私はこれからツヨシ君と『デート』するんだから。

ねえ、ツヨシ君、いいところにつれて行ってくれるんでしょ?

「 え?あ〜もちろん

(一瞬の間の後、お兄ちゃんはツヨシロボに変型する携帯を取り出して言

った。それを見た瞬間、「ユキちゃんをツヨシロボに乗せるつもりなん

だ、いいな〜」と思った)

「あ〜おいしかった。ごちそうさま。ツヨシ君、行こう。ネネちゃん、コ

メットさん、優衣さん、行ってきます」

(ユキちゃんは立ち上がって私達に言った)

「じゃ、また」

「気をつけてね」

「また、後で」

(ユキちゃんは手を振りながら元気に走り去っていった)

「あ、ユキちゃん、待って〜」

(と言いながらお兄ちゃんもその後を追いかけていった。ちょっとうらや

ましかった)

 

13:20

(私は再びモモさんのブティックに行くと、これまでの事を話し、自分の

希望のデザインを伝えた。モモさんは早速ティンクル・ペンを振ってデザ

インを描いてくれた。それを観た瞬間、私にはわかった。これが「理想の

ドレス」なんだと。モモさんも同じ意見だった)

「それじゃ、いくわよ。ヌイビトさん達、お願い!」

ハ〜イ!今度は気合いを入れてヌイヌイしますですの〜!

(私はまばゆいばかりの輝きに包まれ。うっとりした。そしてそれが晴れ

ると、らせん状に真珠をあしらった、Aラインのドレスを着ていた。ベー

ルやグローブ、ブーケは小さい花が一面にあしらわれたドレスを着た時の

ものとほぼ同じだった)

「ウワ〜〜これが『理想のドレス』〜」

(私は思わず大声で言うと、鏡の前で色々ポーズをとってみた。とても嬉

しかった。そんな私を、モモさんも微笑みながら見つめていた)

その1「予選」に続く

 

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