新コメットさんの日記 最終章「わたしの夢」プロローグ

主な登場人物                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

 

コメットさん:21才。ハモニカ星国の王女。ハモニカ星国に留学してい

るツヨシ君、ネネちゃんのお世話をするために星国に滞在中。

寧々(ネネ)ちゃん:12才。コメットさんがかつて地球でお世話になった藤吉家

の主人、景太郎パパ達のふたごの妹ハモニカ星国に留学中。第740回トライアン

グル星雲ウエディングドレスデザインコンテストで優勝する。

剛(ツヨシ)くん:12才。同じくふたごの兄。同じくハモニカ星国に留学中。

シリウスさん:43才。ハモニカ星国の首都エトワール郊外にあるエトワ

ール第4小学校の先生。かつてコメットさんを教える。

 

2009 8/15 10:00

 

「ツヨシくん、ネネちゃん、今日は星国の学校へ行くよ」

わたしは2人の部屋の前で言った。

ハ〜イ!

 元気な声と共に2人が飛び出してきた。それからわたし達はエトワール

郊外にあるエトワール第4小学校に向かった。ここにはかつてわたしを教

えてくれたシリウスさんがいた。星のお城とつながる星のトンネルを出る

と目の前にキノコ型の建物が見えた。

「ねえ、コメットさん、もしかして、あれが小学校?」

「そうよ。ツヨシ君」

「ぼく達の小学校とは随分違うね」

「ええ。星国では地球と違って外での授業が多いから。空の飛び方も教え

るのよ」

「へ〜そうなんだ。ぼくも見てみたい」「私も!」

2人は目を輝かせながら言った。

「コメットさん、じゃああれはもしかしてトラック?」

とネネちゃんが校舎の前に広がる虹色の帯状のものを指して言った。

「ええ。あそこは校庭の一部でもあるけど、時々走ってもいたから、トラ

ックみたいなものね。その左にあるのがプール、右にあるのが遊び場よ。

さ、校舎の中に入ろ」

ハ〜イ!

 わたし達は虹色に輝く入り口から中に入った。するとすぐ、青い服を着

て星形のステッキを持ったシリウスさんの姿が見えた。

「先生、お久しぶりです」

「姫様。ようこそエトワール第4小学校へ。教室にご案内いたします」

「あ、こちらが地球からきたツヨシ君、ネネちゃんです。今度中学生にな

ります」

「ツヨシです。よろしくお願いします」「ネネです。お会い出来てうれしい

です。よろしくお願いします」

 2人が軽くおじぎをすると

「シリウスです。こちらこそよろしく。今日はこども達と一緒に、楽しん

でいってね」

とシリウスさんが答えた。

「ではこちらにどうぞ」

 わたし達はシリウスさんの案内で1年生の教室に向った。校舎の中は思

ったより広かった。シリウスさんは玄関から少し入った教室の前に来ると

「ここが私が担任している一年エトワール組の教室です。どうぞ」

と言って中に入っていった。わたし達も続いて入ると大きな歓声に包まれ

たので少し驚いたが、シリウスさんが。

「みんな静かに!今日はみんなの大好きなコメット様と、そのお友達が来

て下さいました」と言うと、静かになった。

「紹介します。コメット様のお友達で、ハモニカ星国に留学中のネネさん、

ヨシさんです。みんな、よろしくね」

「ツヨシです。よろしくおねがいします」「ネネです。よろしくおねがいし

ます」

 2人がそう言うと、20人程の子供達が、大きな拍手をしてくれた。

「それでは早速最初の授業をしましょう」

 シリウスさんがステッキを振ると、ピンク色のボードの上に五線譜が

現れ、音符が描かれた。

「あ、これは〜」

「ハモニカ文字だわ、ねえ、コメットさん」

「ええ。そうよ」

「さあ、みんな、これは何と読むか、わかる?」

「ハ〜イ!」

と言ってシリウスさんがたずねると、一斉に手があがった」

「はい、オオカミくん」

「え〜っと、コメットさま、です!」

「はい、正解です。オオカミくん、よくできましたね。では、これは?」

「ハ〜イ!」

「はい、ウシビトくん」

「え〜っと、え〜っと、それは〜」

「ようこそエトワール第4小学校へ、です!」

UFOくん、よく出来ました。でもウシビトくんが言うのを、もうちょっ

と待ってて欲しかったな」

シリウスさんがそう言うと

「は〜い。すみません〜」

UFOくんが頭をかきかき言ったので、教室は笑いに包まれた。ハモニ

カ文字は音符からなり、図1に示すように、英語と同じ5つの母音(ド、

レ、ミ、ファ、ソの音符)と21の子音から出来ていた。言葉を話してい

る時は日本語で歌っているような感じに近かった。

「先生、質問があります」

「はい、ツヨシくん」

「カスタネット星国とタンバリン星国の文字はどう書くのですか」

「いい質問ね。だれかわかる?」

「ハ〜イ!」

「はい、ウシビトくん」

「エ〜っと、カスタネット星国の文字はフラットじゃなくてシャープ、タ

ンバリン星国の文字は一つの音の分だけ高くなります」

とウシビトくんが答えたのでびっくりした。

「ウシビトくん、よく出来ました。その通りです」

とシリウスさんに言われてウシビトくんも嬉しそうだった。星国の授業は

日本の小学校よりやや遅く、9時から1時間目が始まり、授業の長さは(日

本の小学校より長い)1時間が基本なので、11時すぎに始まった3時間

目の算数を観た後、お昼となった。

「あ、みんなお弁当だ」

とツヨシくんが子供達がお弁当を出したのを見て言った。

「ええ。星国では日本と違って給食というのはないから、みんなお弁当を

持ってくるのよ。ハイ、これがわたし達の」

「おしそう!早く食べたい〜」

「ぼくも〜」

とツヨシくん達が弁当を受け取りながら言ったので、

「そうだね」

と言いながら思わず笑ってしまった。わたし達がシリウスさんの机のわき

に星力で出したいすに腰掛けると、

「それではみんな、いただきましょう」

とのシリウスさんの言葉が教室内にひびき、その直後、

「いただきま〜す!」との子供達の元気な声がこだました。

 

13時すぎ

 お弁当の後はお昼休みとなり、みんな外に出て遊んだりした。それから

午後の最初の授業である体育が始まった。最初にトラックを走ったりした

後、宇宙(そら)をとぶことになった。

「みなさん、バトンの用意はいいですか?それではこれからバトンを使っ

て飛んでみたいと思います」

シリウスさんがみんなに話した。星力さえあれば、バトンがなくても飛ぶ

ことは出来るのだが、バトンを使ってとんだ方が速く、安定して飛ぶこと

が出来た。

「まず、私達が見本を見せますから、みなさんは見ていて下さいね」

とシリウスさんが言ってわたしに目で合図したので、わたし達はバトンを

出すと

「幾千億の星の子達。キラ星の輝きを。そしてあまたの力を。どうかわた

しの星力に変えてエトワール!」

と言ってバトンを振った。するとそれぞれのバトンから星力が出て、飛び

上がった。エトワール城より高く上がった後、方向転換して地上に戻った。

とても気持ち良かった。

「それではみなさんもやってみましょう。私の後について言って下さい」

「ハ〜イ!」

子供達の元気いっぱいの声がこだました。

「幾千億の星の子達。キラ星の輝きを。そしてあまたの力を。どうかわた

しの星力に変えてエトワール!」

シリウスさんに従って子供達がバトンを振ると、ほとんどの子供が飛ぶこ

とが出来た。しかし、よく見ると、一人だけ地上にいる子供がいた。

「ウシビトく〜ん!どうしたの?」      

シリウスさんがそう尋ねると、

「星力は出てるんですけど…飛べないんです」  

チョット元気なさそうにウシビト君は答えた。 

「でもウシビトくんはバトンがなくても飛べたよね。だがらバトンがなか

った時のように両手を広げてもう一回やってみて。こんどはきっと飛べる

から」

「わ、わかりました

ウシビトくんはそう言うと、両手を広げて

「幾千億の星の子達。キラ星の輝きを。そしてあまたの力を。どうかわた

しの星力に変えてエトワール!」

と言った。すると、ウシビトくんのからだがフワッと浮き、の所に

行くことが出来た。

「では先生の後についてきてね。ウシビトくんみたいに手を広げてもいい

よ。エトワール!」

それからしばらくの間、シリウスさんの後について上昇したり、下降した

り、宙返りをしたりした。わたしはかつてシリウスさんに連れられてバト

ンなしで飛んだ時のことを思い出していた。

(あの時も楽しかった…ずっとこうしていたい…

その時、わたしはハッとした。

(「やっぱり、こども達といっしょにいたい、こうやって、いっしょに宇宙

をとんだり、あそんだり、べんきょうしたりしたい」)

「みんなだいぶ上手く飛べるようになったみたいね。では今度は先生の代

わりにコメット様が先生になって下さいますから、コメット様の後につい

て下さいね」

すると、わたしのこころを見すかしたように、シリウスさんが言うのが聞

こえた。わたしは思わず

(「先生、どうしてわかるんですか」)

と聞いてしまった。

(「それはもちろん、私が姫様の『先生』だからですよ。姫様のことは王妃

様からも色々聞いていますよ。子供たちをよろしくお願いします」)

すぐにシリウスさんからの「こころの声」が響く。わたしはすぐに、

「みんな、こっちに来て〜。これからもう少しスピードを出してとんでみ

よ。とっても気持ちがいいよ」

「ハ〜イ!」子供達の大きな声が響いた

 

15時すぎ

体育の授業も終わり、一旦教室に戻った後、子供達と別れることになった。

「みんな、今日はとっても楽しかった。どうもありがとう。シリウスさん、

どうもありがとうございます」

とわたしが言うと、

「姫様。こちらこそわざわざいらして頂いて、ありがとうございます。ま

た是非いらして下さいね」

と答えてくれた。

「ぼくも今日は楽しかった。シリウスさん、ありがとう」「私もとっても楽

しかった。みんな、どうもありがとう」

「ツヨシさん、ネネさん。今日はどうもありがとう、お二人とも、星力の

使い方がすごく上手ですね。まだ12才なのに、感心しました。また来て

下さいね。あ、でも一週間後には地球に戻られるんでしたね」

「ハイでも、よく知っていますね」

「さっき姫様からも聞きましたから

「じゃあ、みんな、さようなら。またそのうち来るね」「さようなら」

「バイバイ」

姫様、ツヨシさん、ネネさん、さようなら〜

こども達の声がひびく中、わたし達はエトワール第4小学校を後にした

 

8/21 19時すぎ

 それからあっと言う間に1週間近くがすぎ、地球に帰る前夜、わたし達の送別

会が行われた。レセプションルームにはたくさんの星使いやホシビトが集まった。

「みなさん、それではこれから姫様達の送別会を始めたいと思います

と19時すぎに登場した司会者が言った。

「あ、あの時の人とおんなじだ」「ホントだ」「そうだね、っていうか、わ

たしがお父様に頼んでそうしてもらったんだもの」

「そうなんだ」「でもどうして?」

「それは、もうすぐわかるわよ」

わたしは2人を見ながらイタズラっぽく笑って言った…

「おひさしぶりです。ツヨシさん、ネネさん。覚えていらっしゃいますか。

お2人がここに初めていらした時、司会をさせて頂いたアルタイルです。

ここでの暮らしはいかがでしたか?」

「とっても楽しかったです」「私もとても楽しかったです。もっといたかっ

たです」

「それは良かったですね。あの時話されたお2人の夢、かなえることが出来ましたか?」

「ハイ。ロボットレーシング大会に出て優勝出来て、良かったと思います」

「私もウエディングドレスデザインコンテストで優勝出来て良かったと思

います。あの後ウエディングドレス以外の洋服も着せてもらったし〜でも、

ドレスを着れたり、優勝出来たことも嬉しいけれど、『それ以上のも

の』をここにいる間にもらったと思います」

ネネちゃんはひとみをキラキラ輝かせながらそう言った。

「それは何ですか?」

「私がこうして夢をかなえることが出来たのも、自分の力だけではなく、

コメットさんやモモさん、その外たくさんの人の助けがあったからです。

そのような人々との出会い、これが私にとって『夢をかなえる事以上に大

切なこと』だと思います

(「ネ、ネネちゃん…いつの間にそんなに成長したんだろう」)

 わたしは星国に帰る前、輝きの元である方に言われた時の事を思い出し

ながら言った。

(「あの時はわたしもわからなかったのに…まだ12才なのにちゃんと自

分で答えを見つけているなんて…」)

「え〜ではひめ様、星国を離れるにあたって一言、お願いします」

「あ、え〜。みんなのおかげで2人は無事、地球に帰ることになりました。

2人を夢を叶えるお手伝いが出来たようで、わたしもとても嬉しいです。

明日わたしも地球に向うけど、今度はわたしの夢を叶えるために頑張りた

いと思います」

「ひめ様は29〜30日に、保育士の筆記試験を受けられる予定です。私

達もひめ様の夢がかなえられますよう、お祈りしたいと思います」

司会者の言葉の後、会場は嵐のような、しかしとてもあたたかい拍手に包

まれた…

 

8/22 10時すぎ:

 わたし達は地球に向う星のトレインに乗り込もうとしていた。この5ケ

月近く、本当に楽しかったわたしは改めて2人を星国に連れてきて良か

った、と思った。

「それでは、おとうさま、おかあさま、いってきます」

「お〜コメット、また行ってしまうのか。達者でな」

「コメット。一次試験はもうすぐね。今度はあなたが夢を叶える番よ。頑

張ってね」

との母の言葉がふっとわたしを包み込んだ。涙が出る程うれしい。

「王様。王妃様。お世話になりました。ここにいる間、本当に楽しかった

です。またいつか星国に来たいと思います」

「私もそう思います。ここでの生活はとっても楽しかったです。色々お世

話になりました。ありがとうございます」

「2人とも、達者でな。わしも楽しかった」

「あなた達もここにいる間にずいぶん成長したと思いますよ。一緒にバト

ンの演技をすることが出来たことは、忘れられないわ。また来てね」

「ハイ、王妃様」

そうツヨシ君が言った直後、わたしは2人の先にたって星のトレインに乗

り込みながら言った。

「じゃあ〜さようなら〜」

2人もすぐに乗り込んで来て、窓から手をふりながら言った。

「さようなら〜」「さようなら〜」

間もなく汽笛が鳴り、列車がゆっくりとホームをすべり出した。両親や出

迎えの人々の姿が少しづつ小さくなる。それからすぐに星のお城を出て、

ワープポイントに向った。

「もうすぐ地球だわ」

次第に小さくなるハモニカ星をじっと観ながら、わたしはそう、つぶやい

その1(筆記試験)に続く

                                                                                                        

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送