「コメットさんの日記新たなる旅立ち地球(テラ)

第1章「王女からのメール」そ3「和解への道」

 

コメットさん:26才。ハモニカ星国の王女。雪ノ下保育園の先生。カワズ

ール・ナタール王国の王都ウルンディの宮殿に捕われていたエリザベス=

ムベキ王女を助け、ダーバンに到着する。

輝きの求道者:48才。この日記の作者。メットさんと一緒にダーバンに

向かう。

エリザベス=ムベキ王女:25才。南アフリカ共和国内のカワズール・ナタ

ール王国第7王女。ダーバンで「父の遺産」を手にする。

マリヤ=ムベキ王女:21才。カワズール・ナタール王国第8王女。エリザ

ベス=ムベキ王女の実の妹。エリザベス=ムベキ王女と一緒にダーバンに

向かう。

レスナー=ムベキ王女19才。カワズール・ナタール王国第9王女。エリ

ザベス=ムベキ王女の実の妹。ピーターマリッツバーグ郊外の動物保護区

ゲストハウスからダーバンに向かう。

モニカ=ムベキ妃:55才。カワズール・ナタール王国第8王妃。エリザ

ス=ムベキ王女の実の母。エリザベス=ムベキ王女と一緒にーバンに

向かう。

リディヤ=ムベキ王女:30才。カワール・ナタル王国第1王女。ウル

ンディからダーバンに向かう。

ナタール=ムベキ王子:31才。カワズール・ナタール王国第1王子。リデ

ィヤ=ムベキ王女の実の兄。エリザベス=ムベキ王女のいた動物保護区の

ゲストハウスに向かう。

フィリペ=ムベキ王子:30才。カワズール・ナタール王国第2王子。リチ

ャーズベイに向かう。

エドワード=ムベキ王子:24才。カワズール・ナタール王国第3王子。イ

ーストロンドンに向かう。

ソフィヤ=ムベキ王女:29才。カワズール・ナタール王国第2王女。リ

ディヤ=ムベキ王女の実の妹。

クリス=ムベキ王女:28才。ワズール・ナタール王国第3王女。フィ

リペ王子の実の妹。

ミシェル=ムベキ王女:27才。カワズール・ナタール王国第4王女。エ

ドワード王子の実の姉。

ビアンカ=ムベキ王女:26才。カワズール・ナタール王国第5王女。ミ

シェル=ムベキ王女の実の妹。

ヘレナ=ムベキ王女:25才。カワズール・ナタール王国第6王女。

ビクトリ=ローズさん:ムベキ・ナショナル・トラストの社長秘書。

 

2014 /31 18:3(南アフリカ時間:日本時間 8/1 1:3)

 (いよいよだわ)

わたしはリディヤ王女の「こころの声」を聴きながら思った。リディヤ王女達は

ナショナル・トラストのすぐ目の前まで迫ってきていた。緊張感が更に高まる。

(私達はナショナル・トラストのすぐ近くまで迫っていた。近づくにつれて、

ムベキ王女達はここにいるに違いない、という確信が強まってきた)

(私達は交差点を渡り、ナショナル・トラストの玄関に向かった。入り口には屈

強な警備員が2人立っていたが、私達をチラリと見ただけだった。すぐに受付に

向かう。受付に着くと、社長室を呼び出し、ビクトリアにつないでもらった。

「ビクトリア、ここにエリザベス達が来てるでしょ。正直に答えなさい」)

い、リディア様。エリザベス様達がお待ちです」

(ビクトリアが意外にあっさりと答えたので、少し拍子抜けしたが、平静を装っ

て言った。

「じゃあ、案内して」)

「かしこまりました。少々お待ち下さい。」

(私は部下の一人にすぐに裏口に回るように言うと、もう一人の部下と一緒にビ

クトリアが来るのを待った。それからビクトリアが現れるまでのわずか数分間が、

とても長く感じられた。

 それから数分後、ビクトリアが急ぎ足で入ってきて言った。)

「遅くなってすみません。リディア様。こちらです」

(私は黙ってうなずくと、部下と共にビクトリアの後についていった。エレベー

ターホールにつくと、すぐにドアが開き、私達は中に乗り込んだ。私が口を開こ

うとすると、エレベータが停止してドアが開いた。最上階でエレベーターを降り

ると、社長室に案内された。)

「どうぞこちらです」

(社長室のドアを開けてビクトリアが言った。促されるままに中に入ると、応接

室に通された。目の前のソフアのすぐ前にエリザベス達が立っていた。)

「お姉様、ごめんなさい。私、自分勝手にこの国を離れようとしていたなんて

…」

(エリザベスはいつの間に着替えたのか、めったに見たことのない、青いドレス

姿で頭を下げたので、私は思わずこう言った)

「どういうこと?」

「これを読んで下さい。お父様からの手紙です」

(そう言ってエリザベスは縦長の小さな封筒を差し出した。私は封筒から見慣れ

た便せんに書かれた手紙を取り出した。そこに、少し乱れてはいるが、間違い

なくお父様の書かれた字が並んでいた。私は衝撃を受けた。お父様がここまで私

達を愛してくれていたなんて…。思わず涙がこぼれ落ちた。少しして、私は顔を

上げるとエリザベスに言った)

「エリザベス、こちらこそごめんなさい。なたやあなたの妹達にひどいことを

してしまったわ」

「どうもありがとう。とても嬉しい」

(エリザベスはそ瞳をこちらにまっすぐ向けながら応えた。胸が熱くなる。私

は部下に命じて、全ての兄弟にエリザベス達が見つかったこと、及びここに集ま

るように伝えた。

「あなたもヘリの所に戻って。呼んだら迎えに来て」

「かしこまりました」

(そう言って部下が立ち去ると、私はエリザベスに言った。)

「どうやってここまで来たか、話してちょうだい。皆が集まるには2時間位はか

かると思うから…」

 

(うまくいったようだわ)

(そのようだね)

 わたしはリディヤ王女のこころの声を聴くのを中断し、輝きの求道者さんのこ

ころに呼びかけた。するとすぐに返事があった。

(でも、まだ他の兄弟が納得したわけではないから、僕はちょっとこの場を離れ

よ。もし何かあったら連絡して欲しい)

(わかったわ)

輝きの求道者さんは足に力をかけると、窓から飛び出して行った。わたしはリ

ディヤ王女のこころの声を再び聴き始めた。

 

1:4 (南アフリカ時間:日本時間 8/1 :4)

「…そうだったの。あ、ビクトリア、コーヒーのおかわりをちょうだい、」

(私はエリザベスと一緒に食事をしながら言った)

「かしこまりました」

(ビクトリアが言うと同時に携帯が鳴った。部下からだった)

「もしもし、え、何?」

「リディア様。ナタール様達がもうすぐこちらに来られます。後2分程で着陸出

来るそうです。それからエドワード様達とフィリペ様達は後40分程で到着され

るそうです」

「わかったわ。ナタール王子達が来たらここに案内して」

「かしこまりました」

(そう言って電話は切れた)

「もうすぐナタール王子達がここに来るわ」

「そう。良かったわ」

(エリザベスは嬉しそうに言った。それから間もなく,社長室の電話が鳴り,ナ

タール王子とソフィアが来たことを告げた。ビクトリアが階下に迎えに行った。

一方、私は受付にいる部下にビクトリアが来たらすぐに駐車場に戻り、エドワー

ド達とフィリペ達を迎える準備をするように伝えた。数分後、ナタール王子達が

やって来た。早速ナタール王子達に父の手紙を見せ、私達が話をすると、最初は

驚いていたが、わかってくれた。

 30分程経ってから、部下から連絡があった)

「リディア様。たった今、エドワード様達のヘリが到着されました。フィリペ様

達も間もなく到着される予定で。お二方をご案内したいと思います。」

「わかったわ。エリザベス、もうすぐエドワードとフィリペ達が来るわ」

「ええ」

わたしはリディヤ王女のこころの声を聴くのを中断し、既に戻ってきていた輝き

の求道者さんに伝えた。

(わかった。今度は僕達の出番があるかもしれないな。僕もリディア王女のここ

ろの声を聴けるようにして欲しい)

(わかったわ)

わたしはそう言って、カゲビトさんに頼んで輝きの求道者さんにもリディヤ王女

のこころの声を届けてもらうようにした。通常カゲビトがこころの声を届けられ

るのは1人だが、優秀なカゲビトの場合、最大3人まで同時に届けることが出来

た。それからリディヤ王女のこころの声を聴くのを再開した。

(ドアがノックされ、続いてフィリペとクリス、すぐ後にエドワード、ミシェル

とビアンカ、ヘレナが入ってきた。社長室は一杯になった)

「みんなろったようね。では、私から説明するわ。エリザベス、補足して」

「わかりました」

(それから私はこれまでのことをみんなに話し、お父様からの手紙も見せた。ほ

とんどの兄弟は納得してくれたようだった。だが、エドワードだけは違っていた)

「僕は信じられない。エリザベスを正当な王位継承者と認めるのか?」

(いよいよ僕たちの出番だ。準備はいい?)

すると、すぐに輝きの求道者さんからの「こころの声」が届いた。

(ええ。)

 わたしはすぐにバトンを出して振った。突然電気が消え、周囲が真っ暗になる。

その直後、雷鳴が響き渡った。わたしはすぐにリディヤ王女のこころの声を聴くの

を再開した。

(雷鳴が響き渡った後、部屋の角が明るくなり、男性が立っているのが見えた。

その姿を見たとたん、皆驚いた。死んだハズのお父様だったからだ。エドワード

はお父様を指差

して震えていた)

「エドワード、これでも信じないと言うのかね」

(お父様の荒々しい声が響きわたる。エドワードは真っ青になって震えていた。

そしてやっとのことで、声を絞り出すように答えた)

「どうして、オヤジがここに…部下に命じて殺させたハズだったのに

「あれは私の影武者だ」

(お父様はエドワードの目をじっと見つめながら大声で言った)

「エドワード、あなた、お父様を殺そうとしたの!どうして!?」

私が問い詰めると、

「そ、それは…オレはオヤジに愛されてなんかいないと思ったし、このままでは王

になれないと思ったから…」

とエドワードは力なく答えた。

「私がお前を愛していないわけがないだろう!!」

とお父様が叫ぶと同時に雷鳴が響き、周囲がまばゆいばかりに輝いた…。

 

 わたしは星のトンネルを使い、変装を解いた輝きの求道者さんの隣りに移動

した。輝きが消え、電気がつくと、エリザベス=ムベキ王女以外の人々が驚いて

わたし達を見つめているのがわかった。一方、エドワード王子は頭をかかかえ、

小声で「赦してくれ、赦してくれ…」とつぶやいていた。

「エドワード、安心して。あなたはお父様を殺してはいないわ。お父様が死んだ

のは本当だけど…」

エリザベス王女がエドワード王子の肩にそっと手を置いて語りかけた。エドワー

ド王子は顔を上げると驚いて言った

「あれ?父さんは?、お前達は誰?」

「この方達は私の友人よ。こちらが、ハモニカ星国王女のコメットさん、こちら

が日本から来た輝きの求道者さん。二人とも愛力スーパーバージョンの使い手で、

私を助けてくれたの」

 エリザベス王女の紹介の後、わたし達は軽く頭を下げてあいさつをした。

「ってことはやはり父さんは死んだのか」

とエドワードが少し声の調子を上げて言った。

「その通りです。でもあなたが殺したわけではありません。ご安心下さい

「どういうことだ?」

とエドワード王子が言った直後、キレウ侍従長が現れて言った。

「エドワード様。その方のおっしゃる通りです。実は、私、お父上が襲われたと

聴いてすぐに現場に向かったのですが、その時父上は頭から血を流されていました

が、気絶していただけですぐに目を覚まされました。そして、私に『エドワード

の手の者に襲われたが、このことは誰にも言うな』とおっしゃられ、その後すぐに、

脳溢血で本当に亡くなられたのです。エドワード様。お父上はあなた様を本当に愛

しておられたからこそ、『このことを誰にも言うな』と話されたのだと思います」

「そうだったのか…」

エドワード王子はそうつぶやいた後、周囲を一瞥し、それからエリザベス王女に

まっすぐひとみを向けて言った。

「みんな、す、すまない…こんなダメな男だけど、赦してもらえるかな?」

エリザベス王女はエドワード王子をまっすぐに見続けながら、

その身を包み込むように、ゆっくりと、優しく応えた。

もちろんよ。だって、あなたは大切な家族なんだから…

「姉さん…!」

2人はハグしあった。部屋の中が何とも言えない程「あたたかく」なり、わたしの

こころは熱くなったー

 

20:0 (南アフリカ時間:日本時間 8/1 3:0)

「そろそろ帰りましょうか?」

とリディヤ=ムベキ王女。

「私達は輝きの求道者さんの車で帰ろうと思うけれど、みんなは?」

「私のヘリには後4人乗れるから…ナタール王子とソフィア、フェリペとクリス、

来て。エドワードのヘリにはミシェルとビアンカ、ヘレナが乗るといいわ。まだ

一人乗れるから、侍従長、お願い」

「かしこまりました」

「残りの者達はフェリペの車で来て」

「は!」

数名の部下がうなずいた。

「ビクトリアさん、どうもありがとう」

「お気をつけて」

とビクトリアさんが言うと、

「みんな、ウルンディに向けて出発よ!」

と社長室のドアを開けてリディヤ=ムベキ王女が呼びかけた…

 

8/1 7:00 (南アフリカ時間:日本時間 14:00)

 ウルンディに着いたわたしと輝きの求道者さんはエリザベス王女達のはからいで王宮

に泊まることになった。

 その夜は兄弟の和解が成立したことを受けて盛大な宴会が開かれ、私達は深夜まで語

り合った。その後、わたしはエリザベス王女と一緒の部屋、輝きの求道者さんはゲスト

ルームで夜を過ごした。次の朝早く、わたし達は起きて帰り支度をした。エリザベス王

女達もわたし達を見送りに来てくれた。

「コメット王女、輝きの求道者様。お二人には何とお礼を言ったらいいのか…。

本当にどうもありがとうございました。是非、また来て下さいね」

そう言ったエリザベス王女の目には涙が光っていた。

「ええ。あなたも是非、日本に来て下さい。わたしの家に招待するわ。いとこの

あおいがあなたに会いたがっていたもの」

「少し落ち着いたら、是非そうさせて頂くわ」

「エリザベス王女。こちらこそ色々ありがとうございました。これからの国創り、

大変だと思いますが、みんなで協力して進めて下さい。日本でお会い出来るのを

楽しみにしています」

「ありがとうございます。兄弟仲良くやっていくつもりで

「コメット様。輝きの求道者様。この度は助けて頂き、どうもありがとうござい

ました。また是非お目にかかりたいと思います」

「モニカ王妃も是非、わたしの家にいらして下さいね」

「ええ」

「お体に気をつけて」

「ええ」

「コメットさん、どうもありがとう。また来て下さい」

「ええ。マリヤ王女もわたし達に会いにきてね」

「コメットさん、色々お世話になりました。私も日本に是非行ってみたいです。

こちらにもまた来て下さい」

「ええ。レスナー王女も歓迎するわ」

「コメット王女、色々どうもありがとう。残りの家族を代表してお礼を言うわ」

「リディア王女。エリザベス王女の話しを聴いてくれて、どうもありがとう。

あなたのおかげでスームズに和解出来たと思うわ。是非日本に来てね。会って

もらいたい人もいるし」

「私にちょっと似ているというメテオ王女のことね。ええ楽しみにしているわ」

とリディア王女が言った直後、長い汽笛が聞こえた。

「迎えが来たようだね」

「じゃあ、みなさん、さようなら。どうもありがとう」

「さようなら」

輝きの求道者さんはそう言うと、わたしに合図した。わたしはすぐに雲を呼ぶと、

飛び乗った。輝きの求道者さんも後に続いた。

「さようなら〜」

そう言ってエリザベス王女が手を振ると、みんなも手を振った。わたし達も手を

振って応えると、開け放たれた窓から外に飛び出した。そしてウルンディ城の上

空100メートル程に来ていた星のトレインに乗り込んだ。

「日本に向けて出発!」

輝きの求道者さんの元気のよい声が響き渡ったー。

エピローグに続く—

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