「コメットさんの日記新たなる旅立ち—地球(テラ)へ—」

第１章「王女からのメール」エピローグ

 

コメットさん：26才。ハモニカ星国の王女。雪ノ下保育園の先生。カワズ

ール・ナタール王国の王都ウルンディの宮殿に捕われていたエリザベス＝

ムベキ王女とその兄弟を和解に導き、日本に向かう。

輝きの求道者：48才。この日記の作者。コメットさんと一緒に日本に向か

いう。

ラバボー：コメットさんのツキビト

 

2014 ８/１ 7：30 (南アフリカ時間：日本時間 14:30)

　わたしは輝きの求道者さんと一緒に朝食をとっていた。星のトレインは

アフリカの東海上を進んでいた。周囲は明るく、雲はほとんどなかった。

海は穏やかで、鏡のような水面が広がっていた。わたしはこれまでの事を

振り返りながら輝きの求道者さんに聴いてみた。

「輝きの求道者さん、今回のことのきっかけになったあのメールはどうし

て届いたんですか？」

「エリザベス王女に聴いてみたんだが、どうやら以前会ったことのある私

の職場の別の部署の人間に出そうとしたらしい。でもそれがどうして私の

所に届いたのか、彼女にもわからないそうだ。ちなみに最初に僕の姿を見

た時、あれっと思ったそうだが、僕やコメットさんが他の兄弟と普通に話

している姿を見て気にしなくなった、と言っていたよ。まあ、あの時は気

にしていられる状況ではなかったと思うがね」

「そうだったんですか…」

「今回はエリザベス＝ムベキ王女の『お父さんからの手紙』がみんなを和

解させるきっかけになったと思う：

と輝きの求道者さんは感慨深そうに言った。

「ってことは、あの手紙はみんなにとって１２００万ドル以上の価値が

あった、っていうわけですね」

「ああ、あの手紙によって表された『父の想い』が家族の、否、この国の

『真の宝』だと、気づいたんじゃないかな…」

窓の外を見ながら、そう輝きの求道者さんはつぶやいた…

 

16:00（日本時間）

　星のトレインは予定通り神奈川県上空に達した。わたしはラバボーを呼

んで飛び乗った。一方、千葉県方面に行く輝きの求道者さんは足に愛力を

かけて浮かんでいた。

「ここで、お別れですね…。どうもありがとうございました」

とわたしが言うと、

「こちらこそ、一緒に来てくれて、本当にどうもありがとう。とても楽し

かった」

輝きの求道者さんは嬉しそうに言った。

「わたしも、とても楽しかったです。また、お会いできますか？」

「そうだね。いつかまた……本当は毎日でも会いたい所だけど、こればか

りは作者でもどうしようもないからね…」

「そうなんだ…。では、さようなら。ラバボー、行くよ」

「了解ダボー」「さようなら」

そう言うと、わたし達はそれぞれの家族の元へ飛び出した…。

その直後、星のトレインの汽笛が鳴り響いた…。

 

第二章「クラリス達の危機」プロローグに続く