コメットさんの日記(最新版)第4章「メテオさんと北風ピープー」

主な登場人物:

コメットさん:13才。ハモニカ星国の王女。「瞳に輝きを持つもの」と

されるタンバリン星国の王子を探しに地球に滞在中。バトンによって「星

力」を使う事の出来る「星使い」でもある。かつて絵本の中から「北風

ピープー」と一緒に出て来た「のこしたおばけ」をツヨシ君が本の中に

戻すのを助ける。

メテオさん:13才。カスタネット星国の王女。コメットさんを追って同じくタ

ンバリン星国の王子を探しに地球に滞在中。「星使い」でもある。かつて星力

を使って絵本の中から「北風ピープー」と「のこしたおばけ」を出してしまう。

 

剛(ツヨシ)くん:4才。コメットさんがお世話になっている藤吉家の主人、

景太郎パパのふたごの兄。

 

11/6  14:00

 景太郎パパと一緒にわたし達が家の近くに来ると、何とまだ秋だというのに、

北風が吹き荒れ、鎌倉の街は雪におおわれていた!これは絵本の中に戻すのを

忘れていた北風ピープーの仕業に違いない、と気付いたわたしはツヨシ君と一

緒にあの本を探したが見つからない。あちこち探しているうちに、

「あ、北風ピープーだ!メテオさんもいるよ」

とツヨシ君が森の方を指して言った。バリヤーをはっているメテオさんとその

まわりを回る北風ピープーの姿がチラッと見え、やがで木陰に消えていった。

ラバボーに乗り、急いでその方向に向かうと、お寺の境内に絵本を開けようと

しているメテオさんが見えた。

「メテオさん〜、どうしたの」

「こいつをこの本の中に戻そうとしているに決まってるじゃないの!私

『のこしたおばけ』をあなた達が絵本に戻したのをこっそり見ていたの

よ。私の星力のせいで『のこしたおばけ』とこいつが出てきてしまった

のに無責任だったわ、だからこいつは私がこの中に戻してあげるの。で

も本を開けようとしても、開かないのよ〜キャー何するのよ!」

とメテオさんはバリヤーにぶつかってきた北風ピープーをにらみつけながら言

った。

「そ、そんな、星力でも、ダメ?」

「エエ、あなた、やってみる?」

「試してみるわ。幾千億の星の子達。キラ星の輝きを。そしてあまたの力を。

どうかわたしの星力に変えて。エトワール!―あれ、はねかえされちゃった。

やっぱダメか―」

「ネエ、コメット、どうしたらいいのよ―」

「待って。―北風ピープー、さみしそう。」

とわたしはメテオさんのまわりをグルグル回っている北風ピープーを見ながら

言った。その時、北風ピープーはわたしの方に顔を向けた。それを見たわたし

はあることに気づいてメテオさんにこう言った。

「メテオさん、わかったわ。北風ピープーはきっと誰からも遊んでもら

えなくてさびしいだけだと思うの。メテオさんなら遊んでもらえると思

っているんじゃないかしら」

「どうして私なのよ―」

「メテオさん、今のあなたなら、北風ピープーの気持ちがわかると思う

わ―バリヤーをといて北風ピープーを良く見て!」

 この言葉にメテオさんは衝撃を受けたようだった。しかし、最初に返

ってきたのは

「ダメ、こわくてとても出来ないわ。」

という言葉だけだった。でも

「だいじょうぶ。わたしがいっしょにいてあげるから、メテオさんなら

出来るわ。」

 そうわたしが言うと、やがて、メテオさんはこたえてくれた。

「わかった。やってみる」

 その顔を見てわたしは驚いた。今までこんなに真剣なメテオさんの顔

は見た事なかったから―メテオさんはバリヤーを解くと、北風ピープー

をじっと見た。そしてゆっくりとこう言った。

「これは、もうひとりの―『わたし』―」

 わたしもそう思った、涙が自然と出て来た。そしてメテオさんは今ま

で聴いたことのない「優しい」声でこう言った。

「北風ピープー、いえ、もうひとりの『わたし』、こっちへおいで。一緒

にあそびましょう」

 するとあの絵本が開いた!メテオさんはすぐに本を持ち上げると近付

いて来た北風ピープーに向けた。たちまちメテオさんは本から発したま

ばゆい輝きに包まれ、北風ピープーは絵本の中にすい込まれていった。

町に積もっていた雪もすっかり消えていた―

 わたしは思わずこう叫んでメテオさんの手をとり、キスをした。

「やった!メテオさん、スゴイ!」

 メテオさんは目にうっすら涙をうかべながらこう言った。

「コメット―さん。ありがとう、あなたって本当にイイ人ね」

「ええ。そういうあなたも」

第5章「動画ビト」に続く―

 

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