コメットさんの日記(最新版) 第8章「アフガンの輝き2」プロローグ

主な登場人物:

コメットさん:13才。ハモニカ星国の王女。「瞳に輝きを持つもの」とさ

れるタンバリン星国の王子を探しに地球に滞在中。「星力」を使う事の出来

る「星使い」でもある。かつてアフガニスタンに行き、バーバラさん、ム

ハンマドさん達と出会う。

ラバボー:コメットさんのお供&ペット。

 

バーバラ・カーライルさん:28才。NYタイムスの新聞記者。

景太郎パパ:コメットさんがお世話になっている藤吉家の主人。

沙也加ママ:景太郎パパの妻であり、ツヨシくんとネネちゃんのお母さん。

剛(ツヨシ)くん:4才。景太郎パパ達のふたごの兄。

寧々(ネネ)ちゃん:4才。同じくふたごの妹。

 

12/22 19:00

 

 わたしがテレビを見ていると、アフガニスタンの暫定行政機構が今日発足した、とニュースで報じられていた。議長のハミド・カイザル氏以下30人の閣僚の中

3人の女性のうちの教育相の名前を聞いてわたしは驚いた。

「ムハンマドさん!」

その時、ティンクルホンが鳴った。

「もしもし、コメットです。あ、バーバラさん、久しぶり!とうとう暫定

行政機構が出来ましたね」

「エエ。でも、実はそのことであなたの助けを借りたくて電話したのよ」

とバーバラさんは話し始めた。

 わたしは約1ケ月半前、アフガニスタンに行き、そこでバーバラさんとムハン

マドさんに出会い、アフガニスタンで行われていた戦争をやめさせるために、

世界中、更にトライアングル星雲中の「輝き」を集めてアフガン全土を雪

で覆うという、「暖かい雪作戦」を実行した。作戦は見事成功し、アフガニス

タンは全土を覆った雪で光り輝き、戦闘も中止されたが、やがて雪が解けると、

再び戦争が始まり、くの人の血が流された。しかし、間もなくタリバン側がなぜ

か兵力を温存したまま退却し始め、

 マジャリシャリフも、首都カヴールも次々と北部同盟の手に落ち、更に今月に

入ってタリバンの本拠地のカンダハールも地元の反対勢力の手に落ち、タリバン

はほぼ崩壊した。

 バーバラさん達がいた村もタリバン兵は退却あるいは投降し、今では北部同盟

の兵士もいない。村にはバーバラさん達に続いて男達も戻ってきてこわれた家な

どの修復に取り掛かっている。タリバンの最高指導者オマール師やテロの首謀者

とされるウサマ・ヒン・ラディン氏の居所はつかめず、戦争は完全には終わって

いないが今、アフガニスタンではこれまで対立していた人々が集まり、今日発足

した暫定行政機構を中心に新しい国創りが始まろうとしている。これも「星力」

のおかげにちがいない、とわたしは信じている。

 わたしはアフガニスタンから戻ってから、アフガンのことについて色々調べて

みた。するとこれまで如何に自分がこの国について、そこで起こっていることに

ついて知らなかったかを思い知らされた。今思えば、何にも知らないで、よく行

けたものだと思う(だからこそ、行けたかも知れないのだが)。ここで、少しだけ

アフガンについて紹介したいと思う。

アフガニスタン

 国土:面積65万平方キロ、日本の1.7倍の面積をもっている。首都カ

ヴールはほぼ大阪と同緯度にあり、高さは1800メートルである。国土の

大半が1000メートル以上の山岳国であり、夏は最高45度、冬はマイナス

20度以下になる。平均寿命は47歳で、パシュトゥン人38%、 タジク人

25%、 ウズベク人 6%、 ハザラ人19%、残りは多数の少数民族からなっ

ている。

 国民の99%がイスラム教徒である。言葉はパシュトゥ語35%、アフガン

ペルシャ語50%、トルコ語系言語11%、30の少数言語 4%となっており、

15歳以上で字が読める人の割合は男性が47% 、女性はわずか15%である。

70% の人が農業および牧畜業を行っている。

 1919年に独立。737月共和制になった後、784月軍部の反乱に

より人民民主党政権が出来た。7912月ソ連の軍隊が攻めてきたことに

よりカルマル政権が成立した。865月ナジブラという人が書記長に就任

し、892月にジュネーブ合意に基づき、ソ連軍の撤退が完了した。しか

しムジャヒディーン・ゲリラ勢力の攻撃により924月ナジブラ政権が

崩壊し、ムジャヒディーン政権が成立するが、各派間の主導権争いにより

内戦が続いた。そして94年頃から、イスラムへの回帰を訴えるタリバン(神

学生という意味)が勢力を伸ばし、969月にタリバンが首都カヴールを

制圧した

「今日出来たばかりの暫定行政機構にはマフード大佐やムシャラク少佐

など、かつて敵として戦っていた人達が閣僚として加わっているわ。前か

ら恐れていたことだけど、早くもそれを壊そうとする動きが出てきたのよ。

暫定行政機構はマフード大佐を中心とする北部同盟(17人の閣僚)と、カ

イザル議長を中心とするローマ・グループ(9人)、残りのイランへの亡命

者の「キプロス・グループ」及びパキスタン在住のパシュトゥン人難民らの「ペシャワル・グループ」、それから特別に入閣した元タリバンのムシャ

ラク少佐の3つに大きく別かれるんだけれど、特に北部同盟とローマ・グ

ループの対立が深刻だわ。ローマ・グループに属するムハンマドさんの話

では少し前までは結構いい雰囲気だったそうだけれど、実際行政機構が出

来てみたら急に険悪な雰囲気になってしまって…このままでは半年後の暫

定政府発足が難しくなってしまうと思うの。だからあなたに北部同盟の人

達とローマ・グループの人達を仲直りさせて欲しいのよ」

「で、でも、バーバラさん、わたしなんかがどうしてそんなことが出来るの?と

ても無理だわ。グループのメンバーの名前もまだよく知らないし…」

「私はこの前来てくれた時、アフガンに雪を降らせてくれたあなたなら出

来る、と思うわ。それに、あなたは北部同盟のマフード大佐も、(ローマ・グル

ープの)ムハンマドさんも知っているわ。私は明日カヴールで2人にインタビュ

ーすることになっているの。あなたのことも話してあるわ。だから是非あなたも

一緒に来て欲しいのよ」

 わたしは少し考えてから

「わかったわ。わたし、行きます」

と言った。

「じゃあ、私は今カヴール市内のホテルにいるから、明日9時までにここに来て

ね。連絡先はこれよ」

とバーバラさんは言ってホテルの場所と連絡先を教えてくれた。

 わたしは早速、景太郎パパと沙也加ママに事情を話した。さすがに2人は心配

したが、カヴール市内等アフガンのほとんどの地域で戦闘は行われていないこと、

暫定行政機構の教育相のムハンマドさんと知り合いであること等を話すと、納得

してくれた。

「それではすみません。ススっと行ってきます。23日で戻れると思いますから

向こうに着いたら電話します」

「本当に空港まで送らなくていいの。気をつけてね。無理しちゃだめよ」

と沙也加ママ。

「ええ。一人で行けますから」

「がんばるんだぞ。何かあったらすぐ連絡くれよな」

と景太郎パパ。

「はい」

「ネネちゃんも一緒に行きたい」

「ツヨシ君も一緒に行きたい」

「ごめんね。二人とも。すぐ戻るからね。この前みたいに星の子達が守ってくれ

るから、

 

 

 

だいじょうぶだよ。それじゃ

と言ってわたしはみんなと別れてあの木の下に行き、ヌイビトを呼び出して新聞

記者に変身した。

「ラバボー。行くよ」

「はい、ひめさま」

そして木のロケットで再びアフガンを目指した。

☆☆☆その1へ続く

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