コメットさんの日記(最新版)第8章「アフガンの輝き2」―その3

主な登場人物:

コメットさん:13才。ハモニカ星国の王女。タンバリン星国のプラネット

王子を探しに地球にやってきた。バーバラさん、ムハンマドさん達の依頼

で暫定行政機構の会議を成功させるためにアフガニスタンに来たが、一旦

日本に戻る。

メテオさん:13才。カスタネット星国の王女。コメットさんを追ってアフ

ガンに来た。キュービトを使ってカイザル議長とマフード副議長を一旦和

解させることに成功し、日本に戻るが―

ラバボー:コメットさんのお供&ペット。

バーバラ・カーライルさん:28才。NYタイムスの新聞記者。父をNYテロ事件で失う。

ソフィア・ムハンマドさん:30才。アフガニスタンの暫定行政機構教育相。

ムシャラク・アブドラ少佐:52才。暫定行政機構運輸相。

 

景太郎パパ:コメットさんがお世話になっている藤吉家の主人。

沙也加ママ:景太郎パパの妻であり、ツヨシくんとネネちゃんのお母さん。

剛(ツヨシ)くん:4才。景太郎パパ達のふたごの兄。

寧々(ネネ)ちゃん:4才。同じくふたごの妹。

ケースケ:15才。コメットさんの大切な友達。世界一のライフセイバーとなる

夢をかなえるためにオーストラリアに向ったが、現在はモナコで修行中。

 

日本時間 2001 12/24 22:30(アフガン時間 12/24 18:00

 わたしは23日の夜に藤吉家に戻り、今までのことを話した。次の日はネネち

ゃんやツヨシ君達と一緒にクリスマスの飾り付けをしたり、メテオさんと会った

りした。メテオさんの涙、ステキだった…。でもイマシュンと会ってからのメテ

オさんの笑顔はもっとステキだった…わたしもケースケとそんなステキな夜を過

ごしたかった、って正直思った。でも、わたしは父にまた会うことが出来た。そ

して一緒に日本の子供達に輝きをプレゼントすることが出来た。

 そして父が去った後、本物のサンタさんが目の前に現れた!

「おとうさま、何か忘れもの?」

「君のお父さんならさっき会ったよ。わしを見てとても喜んでいたようじゃっ

た」

「ってことはあなたは―」

「そう、本物のサンタクロースじゃよ。でもサンタは一人じゃない。世界中にた

くさんいるんじゃがの」

「へ〜そうなんだ。でもどうしてサンタさんがここに?」

「君はアフガンに行きたいんじゃろ?。アフガンの子供達、また大人達に

も輝きをプレゼントしたいんじゃろ?」

「どうしてそれを―」

「ハ、ハ、ハ、サンタは君の事を何でも知っているからじゃよ。ラ・コメ

ットJr・ハモニカ王女」

「ス、スゴイボー。ひめさまの本当の名前まで」

「もちろんだ。ラバボーことラ・ヴァルモット・プロボーネくん」

「ボーの本当の名前まで!」

「まあ、これ位は知らないと、なあ〜にをプレゼントしたらいいかわから

んじゃろ。もちろん、世界中からリクエストも届いてはいるがな。さあて、

行こうか。乗った、乗った!」

「ハ〜イ!」

「ボーも!」

「さあ、出発!」

 わたし達はアジア各地にプレゼントを配りながら満天の星の中を再びアフガン

を目指した。

「ねえ、サンタさん、聞きたいことがあるんだけど」

「ああ、メテオさんの方法がこのままうまくいくのかってことじゃろ?」

「ええ、わたし、ずっと気になっているんです。星力でそんなことしてい

いのかなって」

「私にもわからんね。でも、ひとのこころは微妙で複雑。うつろいやすく、簡単

に割り切れるものではない。たとえ星力でも、完全にコントロールするのはおそ

らく無理じゃろ。それに、君が不自然さを感じているのなら、多分遅かれ早かれ

うまくいかなくなるかもしれないのう」

「それではどうしたらいいの?ひとを仲直りさせるためには…」

「お父さんも言われたろう。まず、自分が楽しくなければ、自分が輝いて

いなければならないと思うの。そのためには、輝きに出会う必要があると

思うんじゃ」

「輝きに出会う…」

「そ〜う。輝いている人に会うこともそうじゃ。でも一番良いのは輝きそ

のもの、『輝きの元である方』に出会うことなんじゃよ」

「輝きそのものって?」

「今はわからなくてもよい。そのうちわかるようになるじゃろ。それから、一人

ひとりの輝きを大切にすること。争っている人またはグループだけを見る

のではなく、それには入っていない人も含めた全体のことを考えることが

必要なんじゃよ。そしてこれが一番難しいんじゃが、『痛みを共有するこ

と』じゃよ」

「痛みを共有する…」

ひとを和解させるには、それぞれのひとが持っている痛みを自分も背負

うことが必要だからじゃよ。でも大丈夫。君はもうそれが出来ている。君の今

朝の行動を思い出してごらん。さ、もうすぐアフガンじゃよ」

「ねえ、サンタさん、あなた、本当は『輝きの求道者』さんじゃない?」

 これを聴いたサンタさんは慌てて

「え?イヤ〜どうしてそう思うのかね」

と言った。

「だって、サンタさんと話していると、まるで『輝きの求道者』さんと話

しているみたいなんだもの。まだ会ったことないけど。でもわたしの番組

の掲示板への彼の書き込みはいつも見てるわ」

「あ〜いや〜確かに彼の事もよ〜く知っているよ。でも彼はただの地球人。こん

なことが出来ると思うかね」

「それもそうよね〜」

「さ、アフガンに着いたぞ。始める前に愛力を集めておこう。君は恋力を発動さ

せておくれ」

「は、はい。でも『愛力』って?」

「まあ、『恋力の特別なもの』と言って良いじゃろ。愛力を使うには『輝きの元で

ある方』に出会う必要があるんじゃ。君ももっと成長すれば、きっと使えるよう

になるはずじゃ。愛力はもちろん自分だけでも発動出来るが、集める時はこうや

ってやるんだよ」

と言ってサンタさんは一方が地球と星、もう一方がハートのバトンを星空に向け

て言った。わたしもラブリンバトンを出して後に従った。

「地球の子達。星の子達。そして輝きの元である方。わたしにもっと力を

ください。みんながもっている愛の力を、一つの輝きにして」

 すると、赤やピンク、オレンジや黄色などに光る様々な大きさのハートのよう

なものが集まってきた。わたしのバトンは最初、一瞬だけ形が変わったような気

がしたが、すぐに元に戻ってしまった。

 

「やはり君はまだ愛力を使うことは出来んのう。愛力が恋力に変わっておる。そ

ろそろよいようじゃ」

 サンタさんは先端についている星が金色に光っているバトンを持っていた手を

下ろして言った。

「さあ、始めようかの、よいかな」

「はい」

 

アガパオー!

エトワール!

 

 わたし達はアフガン全土を巡って人々に「輝き」をプレゼントしてまわった。

ハリー君とパダルさんには、ハリー君が正式に採用されたという知らせ、ムハン

マドさんには学校を建てる予算がついたという知らせ。今まさに地雷を踏もうと

していた人には地雷の作動の停止。お腹がすいている人や病気の人の中には食べ

物をもらったり、病気が治った人もいた。でも「輝きそのもの」をもらって困難

の中にも希望を持つことが出来るようになった人も少なくなかった―

「バーバラさんにはこれを」

 そう言ったサンタさんから受け取ったものを見たわたしは

「この時計は何?ずいぶん汚れているし、止まっているわ」

と聞いた。

「日付けと時間を見てご覧。それはNYで見つかったものじゃよ」

「サ、サンタさん、これってまさか―」

 

「あれ、何か落ちたような気がしたけど―」

 バーバラさんはそう言って足元を見た。すすで汚れた懐中時計があった。それ

を見たバーバラさんの顔色が変わった。

「お父さん―」

 時計を握りしめてバーバラさんはそうつぶやき、窓に駆け寄った。バーバラさ

んは空を飛ぶ2人のサンタクロースの姿をちらりと見たような気がした。目に涙

を光らせながらバーバラさんは空に向って言った。

「ありがとう。コメット―」

「さて、そろそろ戻るとするかの〜」

「ええ、あ、あの歌は―メテオさんだわ」

 わたし達のかなり下の方を、ムークさんに乗ったメテオさんがイマシュンがわ

たしにくれた歌を歌いながら飛び去っていった。

「ついていかなくていいのかね」

「エエ。イマシュンからもらった輝きをみんなにプレゼントしているんですもの。

ジャマしない方がいいわ」

「ここをタリバンが支配していた時は音楽は禁止だったんじゃ。メテオさん、な

かなかやるの〜。君達もご苦労じゃった。プレゼントをあげよう。まず、ラバボ

ー」

「こ、これはラバピョンのプルプルプリンだボー。ありがとうダボー」

「それから、君には、ケースケ君と会わせてあげよう」

「ほ、ほんとですか!」

「ああ。明日の朝、藤吉家でな」

「ありがとう、サンタさん。―ところで、サンタさんもプレゼントをもらうの?

わたし、サンタさんにプレゼントがしたいな―」

「あ〜もちろん、もう十分にもらっているよ。こうやって世界中の人達にプレゼ

ントを配れることが何よりのプレゼントなんじゃ。でも、今回は特別にそれより

ももっといいプレゼントをもらっておる」

「それは―」

サンタさんはわたしをじっと見ながら、

「世界中にサンタはいるが、今、君達と一緒にプレゼントを配れるのは、世界中

でこの私しかいないからのう。今日は本当に楽しかった。ありがとう」

と嬉しそうに言った。

「わたしも楽しかった。すっかり元気になったわ。ありがとう、サンタさん」

「そろそろ日本じゃな。少し高度を下げるとしよう」

 

 わたし達を乗せたそりは星空の中を日本に向って進んでいった―

 それからしばらくしてわたし達は鎌倉に着き、サンタさんは去っていった。そ

の後ろ姿を見ながらわたしは

(輝きの求道者さん、わたしとおんなじでウソが下手なんだから、もう、バレバ

レでしたよ。でも、ありがとう―)

とこころの中で言った。

 

(そんなのはわかっておる。作者なんだから―。でも、夢のようなひとときだった。私にとってこんなにステキなプレゼントはない。ありがとう、コメットさん

☆)

 

 そうこころの中で呟いた輝きの求道者さんの近くを本物のサンタさんのそりが

猛スピードで通り過ぎていった―

 

日本時間 12/25 9:00(アフガン時間12/25 4:30

 藤吉家に戻ったわたしの前に、サンタさんの言った通り、ケースケが現れた。が、

しかし、彼はすっかり輝きをなくしていた。実は彼こそがケースケの姿をしたタ

ンバリン星国の王子、プラネット殿下だったのだが、この時のわたしはまだその

ことに気づいていなかった。

 お昼すぎ、ティンクルホンが鳴った。

「コメット、大変なの。すぐに戻ってきてちょうだい」

「バーバラさん。メテオさんの方法、失敗したんですね」

「どうしてそれを―とにかく、あの2人が今朝起きた頃から星力のコント

ロールがきかなくなっていて、メテオさんにすぐ代わってもらって色々や

ってみたけれど2人とも胸が苦しいと言って倒れてしまったの。すぐに矢

を抜いたら元気になったみたいだけど、2人の仲がすっかり元に戻ってしまって、というか、反動でよけい悪

くなったような感じがするくらいなの」

「わかりました。30分後にはそちらにつけると思います」

「待ってるわ」

 

景太郎パパ、沙也加ママ、つよしくん、ネネちゃん。わたし、ケースケ

のことも心配だけど、アフガンに戻らなくてはならなくなったの。ススッ

と行ってきます」

コメットさん、また行っちゃうの?

行っちゃうの?

うん。でも、ササッと戻ってくるよ」

 わたしはまだ寝ているケースケをちらっと見て

ケースケをよろしくお願いします。会議の終わる明日朝までには戻って

これると思いますから」

わかった。気をつけて。コメットさん

会議の成功を祈ってるわ。気をつけてね

はい。みんなが守ってくれるから、大丈夫です。行ってきます。

 わたしは呼んでおいた星のトレインに乗ると、再びアフガンを目指した。―

 

アフガン現地時間 12/25 9:20(日本時間 12/25 13:50

 

わたしはバーバラさんのいるホテルに着き、部屋に向った。

「コメット、早かったわね。早速だけど、どうしたらいいと思う?会議ま

で後6時間を切ったわ」

「まず、2人に会って、話しを聴いてみます」

コメット、残念ながら今回は私の負けだわ。でも、こうなることは昨夜、

あの歌をアフガンの人達にプレゼントした時から、予想していたのよ。私

は日本へ帰るわ。今度はあなたが頑張ってね

メテオさん、ありがとう―それじゃ、行ってきます」

「気をつけて。何かあったらすぐ連絡して」

「わかりました」

 

 わたしは相次いで2人に会い、それぞれから十分話しを聴いた。そして最後に2

人にこう言った。

あなたの思っていることは大切なことで、それは自分のものと

して持っていていいと思うわ。相手に譲歩しなくていいのよ。た

だ、相手の思っていることも大切にしてあげて。相手を変えよう

とするのではなく、この国のみんなのことを考えて、新しい自分

の考えをつくれれば―とにかく、会議には出席して下さい。あな

たの思っていることを大切にするよう、わたしが相手に約束させ

ますから―。お願い。わたしを、そして相手の輝きを信じて―

 

 わたしの思いが通じたのか、2人は最後には会議に出席すること、相手の考え

を大切にすることを約束してくれた。でも同時に、相手に譲歩する考えのないこ

と、相手が約束を守っていないと判断したら、即退席することも伝えられた。わ

たしは2人にお礼を言い、ムシャラク少佐や他のグループの人達にもこのことを

伝えた。ホテルに戻ってみると、会議まで2時間を切っていた。

 

「コメット!すごいわ、あなた。私が話してもダメだったのに―よく出来

たわね。星力を使ったの?」

「いえ。みんなの輝きのおかげです」

 わたしは昨夜のことをバーバラさんに話した。

「そう。やっぱりこれはあなたが、いや本当は輝きの求道者さんがくれたものだ

ったのね」

「はい。愛力ってスゴイって思いました。でもまだ2人は和解したわけじゃあり

ません」

「そうね。―さあ、会議まで後1時間半ちょっとよ。取材の準備をしましょう。

機材のチェックをするわよ」

「はい!」

 この時のわたしはこの後起こる大変なことを予想だにしていなかった―

 

アフガン現地時間 12/25 14:55(日本時間 12/25 19:25

 ついに会議まで5分前となった。わたしとバーバラさんは官邸の近くに車を停

め、入り口に向って歩いていた。周囲を海兵隊などが警戒する中、官邸の前には

次々と車が停まり、会議に参加する閣僚が続々と官邸の中に消えていった。入り

口まで後50 m程の所まで来た時、一台の車が目の前に停まり、ムシャラク運輸

相が現れた。わたしの少し前にはカイザル議長がいた。

 わたしが言葉をかけようとした時、

「アブナイ!」

とムシャラク運輸相が叫びながらわたしをつき飛ばした。ほぼ同時に遠くのほう

で銃声がし、次の瞬間、運輸相は胸から血を流して倒れていた。

「ムシャラク少佐!!」

 わたしはすぐに起き上がると彼の傷口に手をかざしながらそう叫んだ。

「コメット!この近くに病院があるわ。私のジープに彼を乗せてすぐに行くわよ」

 バーバラさんは駆け寄ってきた海兵隊員に事情を説明し、彼をジープに乗せて

もらって近くの病院まで運んでくれた。わたしは泣きながらずっと彼のそばに付

き添っていた。でも病院に着くと、彼は直ちに手術室に運ばれ、わたしは一人残

された。

 わたしは自分の目の前に起きたことにショックを受けていた。あれは、明らか

にわたしを狙ったものにちがいない。おそらく会議を妨害しようとする者の仕業

だろう。もしかしたら近くにいたカイザル議長も狙われていたかもしれない―

「コメット!会議はとりあえず明日に延期されたわ。犯人は官邸から300

m位離れた所から、ライフル銃を使ったみたいよ」

「バーバラさん、わたし、どうしたら―」

「彼はきっと助かるわ。それを信じて待つのよ。でも今は思いっきり泣きなさい

―」

 バーバラさんはわたしの目をじっと見てやさしくそう言った―

 

アフガン現地時間 12/25 17:00(日本時間 12/25 21:30

 それから約2時間後、ついに手術室のドアが開いた。がしかし、出て来た医師

の言葉にわたしは目の前が真っ暗になった。

残念ですが、傷口からの出血がひどく、助けることが出来ませんでした

…」

ムシャラク少佐 〜!!!

 わたしはそう叫んで中に飛び込むと、彼の遺体にすがりついて泣いた。顔には

白い布がかぶせてあった。

 

―彼はわたしを守ろうとして死んだのだ。こんなに小さな、ちっぽけなわ

たしのために―わたしにもう少し力があれば、彼を救うことが出来たかも

しれないのに―どうしてわたしなんかが助かったのだろう。わたしが代わ

りに死んでいれば良かったのに―

 

と頭の中を様々な思いが駆け巡っていた時、藤吉家にいるはずの、あのケースケ

の姿が目の前に現れた!

 

「バーカ!おまえ、いつまでも泣いてんじゃねえよ」

ケースケ!あなた、日本にいるはずじゃ〜

いつも声だけじゃ悪いと思ってさ。たまには姿見せた方がいいだろ

ねえ、ケースケ、わたし、わたし―」

ほらほら、また〜。おまえの気持ち、わかってるよ。おれだって目の前

でおやじが死んだ時、どうすることも出来なかった。でもあの時おやじか

ら『いのち 』 をもらったおかげで、おれはこうして生きていられるんだ

ぜ。おまえは死んじゃいけない。あいつがいのちをかけて守ってくれたん

だ。今度はあいつの『いのちの輝き』をおまえが受け取って生きるんだ!

「『いのちの輝き 』

そうさ。じゃあな〜

あ、待って、ケースケ〜」

 ケースケの姿は消えてしまった。

 

「今のは、まぼろし?夢?どちらでもいいわ。ケースケ、ありがとう!」

 

「コメット!大丈夫?彼が亡くなったそうだけど」

「ええ。もう大丈夫。わたし、彼から『いのちの輝き』をもらったの」

「そう。コメット、さっき、マフード副議長から電話があって、議長と和解した

そうよ。『ムシャラク運輸相は自分の命をかけてテロリストの攻撃から我々を守

ってくれた。もう我々は争っている場合ではない。これからは協力してアフガン

の復興のために力を尽したい』ですって。それからあなたを狙ったのはあのウサ

マ・ヒン・ラディンが率いるアルカロイドのメンバーらしいのよ。あなたには言

いにくいことだけど、何と彼とアルカロイドはつながっていたのよ。証拠はこれ

よ」

バーバラさんは黒い手帳を見せた。

「これによると、ウサマ・ヒン・ラディンはジャジャラバード近郊のトラポラ地

区の洞穴にいるらしいわ。それから、彼は今度の会議を妨害しようとしていたら

しいわ」

「そんなの、何かの間違いです。もしそうなら、どうしてわたしを助けた

りしたんですか。わたし、ウサマ・ヒン・ラディンに会って来ます。どう

して彼を、イエわたしを殺そうとしたのか、どうしてあのテロ事件を起こ

したのか―この目で確かめたいんです」

「ダメよ。あなた一人では危険すぎるわ。私も一緒に行くわ」

「いえ、だからこそ今度はわたし一人で行かせて下さい。わたしは大丈夫。

星の子達、そして彼がきっと守ってくれますから―何かわかったらすぐに

連絡します」

「あなたがそこまで言うんなら仕方がないわ。ウサマ・ヒン・ラディンの

居場所を示す地図はこれよ」

「ありがとう。後は星の子達に助けてもらいます」

「あなたは一度狙われたのよ。気をつけて」

「だいじょうぶです。本当の姿で行きますから」

「それがいいわ」

「それじゃ、行ってきます。ラバボー、行くよ」

「はい、ひめさま」

 

 5分後、わたしはラバボーに乗ってウサマ・ヒン・ラディンのいるトラボラ地

区を目指した。―その4へ続く―

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