コメットさんの日記最新版「エピローグ」

2002　 6/15 12:00

　わたし達が地球に戻ってから、色々なことがあった。まず、輝きを失ったケー

スケは実はタンバリン星国の王子であることがわかり、わたし達は星国に帰らな

くてはならなくなった。あの時は本当につらかった。―結局星国に帰ること

を選んだけど―アトランティワナでのあの経験があったからこそ、何とか

乗り越えられたと思う。

　それから、タンバリン星国へ行ってプラネット王子に会い、メモリーストーン

を渡す事が出来た。あの時は、結局妃候補を決められなかった王子を「頼りない」

とも思ったけど、正直ほっとした。今では、決めてくれなかった事に感謝してい

る。あの時は言いそびれてしまったけれど、わたしは本当は王子があの「星間ダ

ンスパーティ」を抜け出して地球に向ったことにとても感謝している。なぜなら

もしあのまま妃候補がすんなり決まっていたら、わたしは地球に行くこともなく、

ツヨシ君やネネちゃんや、ケースケにも会うこともなかったから―今度会ったら

それを伝えたいと思う。そして、それからしばらく星国にいた。まっ先にクラリ

スの所に行き、これまでの事を話した。クラリスはとても喜んでくれた。あの質

問をすると、

「私は『生きる』って『誰かのために勇気を持ってたたかうこと』なんだ

と思うわ。生きるためには物事を最後までまっすぐ見続ける勇気が必要で、その

勇気がなかったら、死んでしまうかもしれないわ。―私はおじさまやケースケ君

やあなたなどからたくさんの勇気をもらってきたわ」

と答えてくれた。

　それからバーバラさん達の取材で、「アフガンの輝き2」で大石さん達が会議に

参加出来なかったのは「ムネオ」という国会議員が外務省に圧力をかけたため、

ということがわかった。更にそれがきっかけで外務省が組織的に行っていた不正

も明らかとなり、田中外相が責任をとって辞任することになってしまった。それ

を後で聞いて、（あの時もう少しちゃんと調べていたら―）と思ったが後の祭りだ

った。　そして今日王子が再び地球に向ったことをミラさんから聞き、一緒に地

球に行くことになった。今度の旅は「タンバリン星国の王子を捜すため」ではな

くて、「もっとたくさんの輝きを探すため」「自分の輝きをみがくため」、そして

「自分の『シナリオ』を見つけるため」なのだと思う。

　星の導きで、わたし達を乗せた星のトレインは6月5日に打ち上げられたスペ

ースシャトルが見守る中、イギリス上空でメテオさん達を乗せた星のクルーザー

と別れ、藤吉家ではなく、ケースケのいるモナコへ向った。

 

「ケースケ！」

「お、お前―」

「ハ ハ☆」

「バーカ☆」

「あ、また、ばかって言った〜☆」

　わたし達は8ケ月ぶりに再会した。それからわたしはこれまでの事をケースケ

に話した。

　星国に行っていたことも―

　ケースケは黙って聞いてくれていた―

 

「ケースケ、あの―」

と言ったわたしの言葉をさえぎるように、

「オレは『死（ぬ）』ってことは『乗り越えるべきもの』だと思う。オレは

師匠と一緒に遭難者を救助した時、父親の『死』を乗り越える事が出来た

んだ。オレがいつか死んでも、その上を誰かが乗り越えて『生きて』いく

はずだ。ヤベツ王女やメテオ王女、そしてお前がネメシスさんの死を乗り

越えて生きているようにな―」

「ケースケ、かっこいい☆」

「ま、まあな」

「あれ、ケースケ、何か顔が赤くなってない？」

「こ、これは日に焼けただけだって」

「あ〜また赤くなった」

「お、お前な〜いいかげんにしろ！」

「あはっ☆」

　その時わたしは初めてケースケが好きだということ、そしてケースケも

わたしが好きだということを確認した。

 

「ねえ、ケースケ☆」

「何だよ」

（わたし、ケースケのことがすき�･）そう星力で呼びかけてみた。するとすぐに

（ああ）という返事が返ってきた。わたしにはそれだけで十分だった。

 

「あ、そうそう、お前に見せたいものがあるんだ」

「何？」

「これだ」

ケースケは２冊の日記帳をわたしに見せた。

「これはおれの日記帳だ。お前が星力を使ってオレの様子を見ていた時の

記録だ。でも、ここから先のページがなくなっているんだ。多分タンバリ

ン星国のやつらがそうしたんだと思うけどな。この日記を、オレも捜した

んだけれど、今まで見つからなかったんだ。でも、昨日、もう一つのもの

と一緒に見つかったんだ」

「そう―だからケースケの声が聴こえなくなったのね。もう一冊は？」

「これはおれがお前の様子を見ていた時の記録だ。つまり、『お前の日記』

だよ。これからはお前自身がこれに書いてくれ」

「ありがとう。わかったわ」

　わたしはそれを手にとってみた。表紙には

「コメットさんの日記」―そう書かれてあった―

 

2003 10/1 19:00

　みなさん、ここまでわたしの日記を読んでくれてどうもありがとう。わたしの

日記はこれから新しいページに入るけど、まだまだ続きます。またいつか「新し

い日記」でお会いしましょう――☆☆☆――

　最後にこの日記に出てきた主な人達の現在の様子を書いておきます。

まず、

　メテオさん。彼女はあれから風岡家に直行し、再び娘としてお世話にな

ることになりました。それから、イマシュンとも新しく出会い直し、今年

彼に創ってもらった歌でデビューしました。

　ふたごの妹のヤベツさんは、すっかり元気になって、今アトランティワ

ナ城で王女としての勉強を続けています。おととしの3月にアフガンで大

地震があった時ヒデさん、クラリスと一緒に初めて地球に行きました。

　わたしの親友、バイオリン星国王女クラリスはおととしの4月から、お

じさんの後見の元、女王として働き始めました。星国で成人となる18才に

なったら戴冠式を行い、正式に女王になるみたい。まだ1５才なのに〜ス

ゴイな―

　スピカおばさまには、おととしの５月、待望の赤ちゃんが生まれました！

わたしも抱かせてもらったけど、とってもカワイイ女の子でした。名前は

地球での名前は「あおい」そして星国での名前は「スピカ」―おばさまが

「『この子には星国と地球の掛け橋となって欲しい』と思って２つの名前を

つけた」って、言ってたわ。もう少し大きくなったらきっとわたしに教え

てくれたように、星力の集め方を教えるんだろうな、と思います。

　ミラさんはおととしの６月わたしとケースケと一緒に星のトレインで日

本に行き、それからすぐカロン君と一緒にプラネット王子が見つかったフ

ランスへ向ったわ。ケースケもモナコまでは一緒だったけど―今はプラネ

ット王子と一緒にニースっていう街にいるみたい。

　プラネット王子はどうやらケースケに刺激されたみたい。わたしと会っ

たころは全然泳げなかったのに、それから星国や地球で特訓して、８月に

ニースで行われた１８才未満の人が対象のライフセービングヨーロッパユ

ース大会で初めて３位に入賞したのよ。惜しくも優勝は逃したけれど…ミ

ラさんからそれを聞いて、わたしは王子を見直したわ。そして彼がライバ

ルとして、ケースケの前に現れる時も近いなって思ったわ。メモリーボー

ルを彼に渡すことが出来て良かったと思います。

　動画ビトのヒデさんは今日もハモニカ星国で放送されている、わたしの

番組「コメットさま☆」の動画を書いています。最近はクラリスとも何度

か会うようになっているみたい。

　それから、わたしの両親やヒゲノシタ、メテオさんのお母さん、ムーク

さんもみんな元気です。

　ラバボーとラバピョンは最近ますます仲が良くって、恋力全開！って感

じです。そのうち2人の間に子供ができるのかな〜と思ってます。

　藤吉家のみんなも元気です。ツヨシ君とネネちゃんも一年生になりまし

た！パニッ君達と 雪ノ下小学校で楽しく過ごしています。おととしの6月

にわたしが日本に帰った時、景太郎パパや沙也加ママが「お帰り」と言っ

てくれたのを聞いて、涙が出る程うれしかった―わたしが藤吉家に再びお

世話になってから少しして、前回と違ってわたしが「星国から来たひと」

として家族みんなに受け入れられている、ということを感じることが出来

たのもそれと同じくらい、嬉しかった―これまで以上に何でも話すことが

出来るようになりました。でも今は直接会うことが出来ないのでちょっと

寂しいです。

　バーバラさんは主にアフガンで取材を続けています。でも今年アメリカ

がイラクを攻撃してからはたまにイラクにも取材に行っているみたい。

　カイザル議長、マフード副議長はおととしの緊急ロヤ・ジルガ（議会）

の中でアフガンの初代大統領、副大統領に選ばれました。その後招集され

た正式のロヤ・ジルガと協力して新しい憲法をつくる準備を進めています。

それから、ムハンマドさんはそのまま教育相に、ムシャラク運輸相は今度

は国防相になりました。ムシャラクさんの息子のハリー君は将来お父さん

のような政治家を目指して勉強中です。

　ウサマ・ヒン・ラディンの行方は依然として不明ですが、８月に、本人

の映像を録画したビデオテープが見つかり、どこかで生きていることがわ

かりました。今頃どこにいるのかな〜。

　アフリカにいるジョン君は１３才になり、医師になる夢をかなえるため

に元気に現地の学校に通っています。

　アメリカに渡ったキヨッチはおととし新人王こそ逃しましたが健闘し、

大リーグで今年も活躍してます。

　おととしの６月、鹿島さん＆優衣さんの結婚式がありました。優衣さん

のウエディングドレス姿、キレイだった―わたしもいつか、あんな風に結

婚したい、って思いました。その時わたしの隣にいるのは―ケースケかな、

プラネット王子かな、それとも―まあいっか―。

　明日香さん、みちるちゃんも元気です。2人ともバトンが更にうまくな

ったみたい。また一緒に大会に出れるといいな―。

　輝きの求道者さんは、千葉県の病院で働いていましたが、この４月はか

ら、都内の国立の研究所に転勤しました。８月に立ち上げた彼のホームペ

ージを見て知りました。

　今はモナコにいるケースケは８月に全日本ライフセービングユース大会

で初めて優勝し、来年のライセンス試験合格にむけてはずみをつけました。

わたし達は今はほぼ毎日恋力で連絡をとり合ってます。以前よりずっとお

互いの事を信じることが出来るようになり、2人の間の絆が太くなったの

を感じて嬉しく思います。

　そしてわたし、コメットは有希先生のような保育園の先生になりたいと

思い、勉強を始めましたが、段々（わたしは星国の王女。だから星国のこ

とももっと知りたい）と思うようになり、今年の３月末に星国に戻りまし

た。でもケースケが１８才になる来年４月には日本に行ってケースケのラ

イセンス試験挑戦を支えたい、と思っています。今度もまた藤吉家に御世

話になることになっており、ツヨシ君、ネネちゃん達にまた会えるのをと

っても楽しみにしています。私が保育園の先生になれるのにどれくらい時

間がかかるか、またケースケがすぐに試験に合格出来るかわからないけれ

ど、みんなが応援してくれるから―

「願い続ければ、きっとかなう」

そう思います。―

―SEE YOU AGAIN☆！―

「新コメットさんの日記」プロローグに続く―