コメットさんの日記(最新版)第1章「星力なんかいらない」

主な登場人物

コメットさん:13才。ハモニカ星国の王女。「瞳に輝きを持つもの」とさ

れるタンバリン星国の王子を探しに地球にやってきた。バトンによって「星

力」を使う事の出来る「星使い」でもある。

メテオさん:13才。カスタネット星国の王女。コメットさんを追って同じくタンバリン星国の王子を探しに地球にやってきた。「星使い」でもある。

ラバボー:コメットさんのお供&ペット。

ムーク:メテオさんのお供。

スピカおばさま:コメットさんの母の妹。日本に住んでいる。コメットさんの良き相談相手でもある。

 

ケースケ:15才。コメットさんの大切な友達。世界一のライフセイバーとなる

夢をかなえるためにオーストラリアに向かう。

景太郎パパ:コメットさんがお世話になっている藤吉家の主人。

 

2001  10/25

 わたしが道を歩いていると、ケースケが突然現れて言った。

「おまえは何者なんだ?」

「ケースケ!どうしてここに」

「俺は昨日見たんだ。俺が前に見た『かわいい女の子』に変身して何んかに乗っ

て空に飛んでいくのを。いったい、どういう事なんだ?!」

(困ったな、どうしよう)

-と思ったら、目が覚めた。

(今のは、夢!?)

急いで貝殻に耳をあてる。

今日は夢にあの嵐の時に見た「かわいい女の子」が出てきた。そう言えばあい

つに似ているような気がする。ひょっとして

 わたしはこれ以上聴いていられなかった。涙があふれてきて、この時初めて

(自分はどうして星国に生まれたんだろう。ケースケと同じ、地球の女の

子なら良かったのに

と思った。

-「わたしはだれ?」

「どうして星国に生まれたの?」

「どうして地球に来たんだろう-

「それはひめさまが姫様だからだボー。ひめさま、またお悩みモードかボー」

「ラバボー!、それじゃわからないわ。もっとちゃんと教えて」

「そんなこと言ってもボー、あ、ラバピョン、じゃなかった、スピカおばさんに

聴けばわかるかもしれないボー」

「そうだね」

 わたしはスピカおばさまに話しをした。おばさまは黙ってわたしの話しを聴い

てくれたが、最後にこう言った。

いずれこういう時が来ると思っていたけれどでもこの答えはコメット、

あなた自身が見つけるしかないのよ。

「おばさまなら教えてくれると思ったのにもうイイです!

 そう言ってわたしは半分泣きながら夢中でそこを後にした。

 自分の部屋に倒れ込んで、

そうだ、星力なんてもういらない。わたしもおばさまのように星力なん

て使わなければ変に思われないし、地球の人と同じになれるかもしれない。

おばさまはもう星力を使っていないから、わたしの気持ちが十分わからな

いのだわ

とつぶやいた。ふと、前を見ると、小さく光るメモリーボールが目に止まった。

そうだわ、これをこわしてしまえば、星国でのわたしの記憶は全てなく

なるワ。地球の人に生まれ変われるかもしれない。

 わたしはメモリーボールを持ち上げようとした。

ひめさま何てことするだボー、やめるだボー。

「ラバボー、あっちへ行ってて!」

ラバボーをはねのけ、メモリーボールを落とそうとした。

が、出来なかった、できなかった!何かがわたしを止めていた

とその時、

た、大変だ、ひめさま、ケースケが

えッ?

と言ってメモリーボールを良く見ると、何とケースケの船が突然の嵐に襲われて

いた。船が木の葉のように揺れていた。

(何とかしなきゃ)

と思ったが、星力を使わないことに決めたことを思い出した。

(このままじゃケースケ達が危ない。どうしよう見ているしかないの

エエイ、やっぱり使うしかないわ。

と思ってバトンを出そうとしたが、出てこない!!星力が使えない!!

「あ〜ら、コメット、どうしたの。あなたが『星力なんてもういらない。』なんて

言うから、ムークに頼んであなたが星力を使えないようにしてあげてるんだけ

ど」

「メ、メテオさん。どうしてそれを

このわたくしがそんなこと知らないとでも思っているの、コメット、イ

イ、あなたはハモニカ星国の王女なのよ。地球人みたいになれるワケない

でしょ!

「そ、そんな〜。メテオさん、時間がないの。わたしを早く元に戻して」

「いいわ。あなたがそんなに言うのなら。ムーク、元に戻してあげなさい」

「しかし、姫様。コメット様が星力を使えるようになるには最低30分はかかる

かと思いますが

だったら、早く!

「は、ハイー。ヒ、姫様、あ、あれは

 わたしがメモリーボールの方を見るとみたこともない巨大な波がケースケ達

の船に覆いかぶさろうとしていた!

「ケースケ!!!

 その時、何かが変わった。

 

 わたしはいつの間にかバトンを手にし、「エトワール!」

と叫んでいた星力は使えないはずなのに

 

 ふと気がつくと、嵐は止み、船は静かな波間にただよっていた

「師匠。今の嵐は何?」

「ああ、多分ミクロバースト、てやつだと思う。フロリダ沖なんかで時々発生す

る突然の嵐の小さいヤツだ。予測が難しいから、海の男達には恐れられているや

つだ。ナンだ。そんなことも知らなかったのか」

「まだまだ未熟ですから」

「でもおかしいな。この辺りじゃめったにないハズなんだがまあいいか。助か

ったんだから」

なんて話している二人を見ながらわたしはようやく気付いた。そう、わたしは、

たとえ星力が使えなくったって、地球の人にはなれないし、地球の人とは

ちがう。でも、わたしには私にしか出来ない力が「与えられており、」それ

を「正しく使うこと」が求められている。確かにわたしは自分の生まれや

もってうまれた力を選ぶことは出来ない。だれがそうしたかは今はまだわ

からないけれどでもそれを大事にして、今の自分を精一杯輝かせて生き

ればいいんだ、ということにということは、もしかしてわたしが地球に来た

のは「ほんとうのじぶんを見つけるためなのかな。

おばさまごめんなさい。今度会ったら教えてくださいね。

 

「あいつ、俺の言葉を最後まで聴いてなかったな。あの後『あいつは地球人で

はないかもしれない。でもたとえあいつがハモニカ星国の王女だったとしても、

あいつはアイツなんだ。俺はそんなアイツが好きだ』って書いたのに

「ケースケ、どうした?」

「し、師匠、何でもありません。」

 

 ケースケは慌ててコメットさんが持チているのと同じ、否、逆向きに巻いてい

る白い貝殻を耳からはずして言った。第2章「心の闇」に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメットさんの日記 第2章「心の闇」

主な登場人物

コメットさん:13才。ハモニカ星国の王女。「瞳に輝きを持つもの」とさ

れるタンバリン星国の王子を探しに地球にやってきた。バトンによって「星

力」を使う事の出来る「星使い」でもある。

メテオさん:13才。カスタネット星国の王女。コメットさんを追って同じくタン

バリン星国の王子を探しに地球にやってきた。「星使い」でもある。

スピカおばさま:コメットさんの母の妹。日本に住んでいる。コメットさんの良

き相談相手でもある。

 

景太郎パパ:コメットさんがお世話になっている藤吉家の主人。

ジョン君:10才。アフリカに住む病気の少年。

 

10/29 18:00

 わたしがテレビを見ていると、そこにやせおとろえ、おびえきった目をした子

供や、みすぼらしい服をまとい疲れきった表情で子供を抱く母親や、死んでしま

った家畜の前にぼうぜんとする人等が映し出された。

「かわいそうあの人達はどうしてあんなに悲しそうな顔をしているの?」

「あの国の人達はききんで、食べ物がとれなかったり、家畜が死んだりして毎日

おなか一杯食べることが出来ないんだ」と景太郎パパが答える。

「その国はどこ?」

「アフリカといってここから遠い所にあるんだ」

「そう、わたしちょっと行って来ます」

「え、行くってコメットさん!?

 

 わたしは星のトレインでアフリカへ向った。

 わたしがそこで見たものは

病気、貧困、破壊された自然、争い、家や仕事もなく、さまよう人々

 こんな事は星国では見たことがなかった。

 わたしは強いショックを受けた。しかし自分が何も出来なかったことに

もっとショックを受けた。助けるべき人の数があまりにも多く、星力を使

ってもほんの一握りの人をしかも一時的に助けことが出来るにすぎなかっ

た。

「わたしはハモニカ星国の王女なのにどうすることも出来ないなんて

 わたしは打ちのめされて戻ってくると、スピカおばさまの前で泣き崩れてしま

った。

「おばさま

 それだけ言うのが精一杯だった。

 スピカおばさまは全てを知っているかのように、だまってわたしをだきしめて

くれていた。

 わたしが見て来たことを話すと、スピカおばさまは

「そう、それは大変だったわね。あなたが見たものは人の中の『心の闇』によっ

て作り出されたものではないかと思うの」

「心の闇

「そう、私やあなたの中にも『心の闇』はあるのよ。だって『輝き』の裏側なん

ですもの」

「わたしにも『心の闇』がある

「そう、私は、地球に長いこといて、やっと気付いてきたんだけれど、地

球ではつらいこと、悲しいこと、悪いことを星国にいる時より多く経験し

たわ。そのせいだと思うけれど、地球の人は星国の人より『心の闇』に気

付きやすいみたいなの。その反対に、星国の人は地球の人より、『輝き』に

気が付きやすいみたいだけど」

「『心の闇』は星国の人には見えにくい

「コメット。あなたはハモニカ星国の王女よ。食べ物や住む所に不自由す

ることもないし、ステキなお父様、お母さまがいるし、星国の中では今は

平和が保たれているわ。それはとてもいいことよ。でも、『輝き』だけに目

を向けていてはいけないの。光りがあるとその回りにカゲが出来るように

『輝き』の裏側にある『心の闇』にも気付く必要もあるの。自分の『心の

闇』に気付くこともとても大切なことだから

「おばさま。それって『心の闇』も自分にとって必要だってことなんですか?」

「難しい質問ね。少なくとも『心の闇』を消すことは出来ないわ。だから

それをそのまま認めていくしかないんじゃないかしら」

とその時、「コメット。これをあなたに届けるように言われたわ。私、あ

んな所もう2度と行きたくない!」

 メテオさんが突然現れて手紙を差し出した。

「ありがとう、メテオさん。手紙?誰からだろう」

「コメット。これ、アフリカからよ」

え?

 急いで中を開けて、読んでみる。思わず涙が出てきた。

 それにはこう書いてあった。

「しんあいなるコメットさま。あなたは本当に星の国から来られたのですね。メ

テオさまから聴きました。あなたのおかげでぼくは病気が治り、元気になること

が出来ました。あなたは天使のようなひとですね。

 こんなぼくといっしょにいてくれるんだもの!たくさんの輝きをありがとう。

今度はぼくがみんなに輝きをわけてあげたいと思います。また来てください。ジ

ョンより」

「コメット。あなたは『あなたにしか出来ないこと』をしたのよ

 わたしは、やっと思い出した。あそこでキラキラ光る瞳、満天の星、豊

かな自然、ゆったりした時の流れ、困難の中で助け合う人々、も見たこと

を。わたしはほとんど何も出来なかったけれど、アフリカの人達の中にも

「輝き」を見つけることは出来た。そして、アフリカの人が大好きになっ

た。いつか、また行ってみたい今度はもう少し「輝き」を分けてあげら

れたら

第3章「アフガンの輝き」に続く

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送