コメットさんの日記 第6章「わたしはだれ?」

主な登場人物:

コメットさん:13才。ハモニカ星国の王女。「瞳に輝きを持つもの」とさ

れるタンバリン星国の王子を探しに地球に滞在中。バトンによって「星力」

を使う事の出来る「星使い」でもある。

メテオさん:13才。カスタネット星国の王女。コメットさんを追って同じ

くタンバリン星国の王子を探しに地球に滞在中。身寄りのないネメシスさ

んに目を止め、良き理解者となる。

ラバボー:コメットさんのお供&ペット。

ムーク:メテオさんのお供。

剛(ツヨシ)くん:4才。景太郎パパ達のふたごの兄。

寧々(ネネ)ちゃん:4才。同じくふたごの妹。

ネメシスさん:65才。カスタネット星国の人。地球にひとり住んでいる。

メテオさんに助けられる。

コメットさんのお母さん:ハモニカ星国の王妃。

おなやみ解決ビト:人の悩みをカウンセリングする等して解決してくれるホシビ

ト。かつてコメットさんの「恋の悩み」を解決しに地球に来る。

三島圭佑(ケースケ):15才。コメットさんの大切な友達。世界一のライフセイ

バーとなる夢をかなえるためにオーストラリアに向かう。

 

いつもの日、いつもの朝、いつもの目覚め、わたしはいつもの生活をするつもり

だった。

しかし今日はたった一つだけ、いつもとは違う事があった。

目覚めてみれば、ここはいつもと違う光景だった。

辺りを見渡してみると、明らかにここはわたしの部屋じゃない。

よくよく見てみると、ここはわたしの部屋ではなく、メテオさんの部屋だった。

「あれ?」と思ったわたしは自分の姿を見回してみる事にした。

服装やティンクルスターもメテオさんのものだった。

「ん…誰かのいたずらかな?ねぇ、ラバボー、ラバボーったら!」

とりあえずラバボーを呼ぶ為に、ティンクルスターに向かって呼び出してみた。

しかし、ティンクルスターから出てきたのはラバボーではなく、ムークだった。

「ひめさま、朝っぱらから何ですか?いきなり呼び出して、あと私はラバボーで

はなく、ムークですよ」

「ムークさん、丁度良かったわ。わたしなぜかメテオさんの部屋にいるんだけど

ムークさん、何か知ってる?」

「…へ?ひめさま、何を寝ぼけてらっしゃるんですか?」

「え、どうして?」

「あなたは正真正銘のカスタネット星国の王女、メテオ様じゃありませんか。」

「…え?違うよ?私はコメットだけど…。」

「(きっとこれはどこか頭を打ったんだな。)いや、そのお姿はどう見てもメテオ

様としか。」

「姿…?まさか…。ムークさん、ちょっと鏡を持ってきてくれませんか?」

「はい、承知いたしました。」

ムークは鏡を持ってきて、わたしはその鏡を見て愕然とした。

服や部屋だけでなく、わたし自身もメテオさんになっていた。

「これは…夢?」

夢だと思い、わたしは自分の…いやメテオさんのほほをつねってみた。

「いたたっ…夢じゃない?」

「ひめさま、本当にどうかしましたか?」

わたしがここにいるって事は、もしかしてわたしの部屋にいる人はまさか…

 

いつもの日、いつもの朝、いつもの目覚め、私はいつもの生活をするつもりだっ

た。

しかし今日はたった一つだけ、いつもとは違う事があった。

しかも今日はいつになく気分が悪く、目覚めも悪かった。

「あ、今日は気分が悪いったら悪いわよ…ってあれ?」

目覚めてみれば、ここはいつもと違う光景だった。

辺りを見渡してみると、明らかにここはわたしの部屋じゃない。

よくよく見てみると、ここは私の部屋ではなく、コメットの部屋だった。

「…何で、私がコメットの部屋に?」

ヘ自分の姿を見回してみる事にした。服装やティンクルスターもコメットのも

のだった。

「ふーん、これはきっとコメットの作戦に違いないったら違いないわ!

 私のこんな姿を見て、どこかで笑ってるに違いないわ!」

(めろんそーださんの文章を本人の承諾を得て引用)

 

11/18 8:00

ムーク、ムーク!出てらっしゃい!

「ひめさま〜何言ってるボー、ボーはムークじゃなくてラバボーだボー。ひめさ

まはまだ寝ぼけているのかボー」

と言ってティンクルスターから出て来たのはムークではなくラバボーだった。

寝ぼけているのはそっちでしょ?ラバボー、このわたくしがどうしてあのコメ

ットの部屋にいるのよ、あんた達がやったんでしょ

「え?ひめさまがここにいるのは当然だボー。ここはひめさまの家だボ〜」

もーそうじゃなくて、私はコメットじゃなくてメテオなの!

「はははーひめさまあたまがおかしいボー。鏡を見ればワかるボー」

 そう言ってラバボーは鏡を持ってきて、私はその鏡を見て愕然とした。

服や部屋だけでなく、私自身もあのコメットになっていた。

これは…夢?

「いたい、イタイ、ヒメさま何するボー」

と私に引っ張られたラバボーが言う。

あら、ゴメンナサイ。やっぱり夢じゃないワ

「だから言ったボー。ヒメさま今日はちょっと変だボー」

だから私はメテオなんだったらメテオなの!ラバボー、輝きセンサーで私を見

て頂戴!

「ま〜だそんなこと言ってるボー。今日のヒメ様は本当におかしいボー。〜ん!

こ、これはひめさまの輝きとはちょっと違うボー。ってことは

だから私はメテオだって言ってるじゃないの!わかった!?コメットは

どこなのよったらどこなのよ〜

と私が言った時、

「コメットさん、ここにいた!ココにいた!ね、早く保育園に行こ」

とあの子達が私を見て言った。

何で私があんた達と一緒に行かなきゃならないのよ〜

「え?今日のコメットさん何か変」「なんかへん」

ダメだ。今は説明しているヒマはない。私は急いでその場を取りつくろうとし

た。

何でもないったら何でもないのよ、私着替えるから先に下におりてて

ハ〜イ!!

 2人が姿を消すと、私はフーとため息をついて、

やってられないわ

とつぶやいた。

「ヒメ、イヤ、メテオさん、早く下に行かないと、バスに乗り遅れてしまうボー」

わかってるわよ。行けばいいんでしょ。行けば〜

 私は急いで着替えると、2人をバス停まで送っていった。

 

☆☆☆

 

何とかムークさんを説得したわたしはムークさんに乗ってわたしの家のすぐ近

くに来ていた。

ラバボー、ラバボーどこにいるの

「姫様、姫様

 わたしの部屋には誰もいなかった。時計を見ると、既にバスが出る時間を過ぎていた。

あちゃ。バス停に行ってみよ

「ハイ。コメット様。でも今からでは間に合わないかと」

そうだね。じゃ先回りしよ

 わたし達は急いで保育園に向った。幸い、まだバスは着いていなかった。

ツヨシ君とネネちゃん、大丈夫かな。あ、来た来た、お〜い

「コ、コメット様。メテオ様はそのようなことはなさいません。無用な混乱を与

えぬよう、元のお姿に戻られるまでは、メテオ様らしくされた方がよろしいかと」

そ、そうかな〜。そう言われても急には出来そうにないし

「大丈夫です。御自分がメテオ様だったらどうされるか、をお考えになれば、き

っとお出来になると思います」

自分がメテオさんだったらどうするかを考えるですっておもしろそう、やっ

てみるわ

 バスが保育園に着き、ツヨシ君とネネちゃんが降りてきた。

「あ、メテオさんだ」

「メテオさんだ」

ネエ、コメットさん、いや、コメット知らない?

とわたしはメテオさんの口調をまねてツヨシ君に聞いてみた。

「コメットさんなら、バス停まで送ってくれたよ」

ソウ。コメットはそれからどこへ行ったの?

「わかんない。でも、今日のコメットさん、何かヘンだった。メテオさんみたい

な口きいてた」

「メテオさんみたいだった」

分かったわ。どうもありがと。ムーク、行くわよ」(ね、わたしの言った通りで

しょ)

「ハイ、ヒメ様」

「今日のメテオさんも何かちょっと変」

「ちょっとコメットさんみたいだった」

と飛び去る姿を見ながら2人は言った。

 

☆☆☆

 

私達は風岡家に着いた。

ムーク!ムーク!いるなら出てらっしゃい!

「どうやらいないようだボー」

じゃあドースンのよったらドースンのよ!

「メテオさん、今はひめさまのお姿なんだから、元に戻るまではひめさまらしく

した方がいいと思うボー」

どうしてこのわたくしがコメットのまねをしなくちゃいなけいのよ!

「そうすれば早くひめさまを見つけられるからだボー。それにこのままだといち

いち説明しなくちゃならないからヤヤこしくなるボー」

そう言われれば確かにそうネ。で、アタクシはどうしたらいいのかしら。

「だからメテオさんがひめさまだったらどうするかを考えればわかると思うボ

ー」

何よその言い方は!いいかげんにしなさいよ!

「ひめさまはそんな風には言わないボー。ほかの人が見たら変に思われるボー」

わ、わかったわ。ラバボー。で、こういう時ってあの人だったらどうすると

思う?と私は仕方なく、コメットの口調をまねて言ってみた。

(モウ〜ラバボーったら、覚えてらっしゃい!)

「ウンウン、少しはひめさまらしくなったボー。ひめさまだったらまずツヨシ君

やネネちゃんの様子を見に行くはずだボー」

でも、バス停にはいなかったわ

「だから保育園まで行ったハズだボー」

じゃあ、ラバボー。保育園まで行って

「その調子、その調子。メテオさん、大分ひめさまらしくなってきたボー」

 私達が保育園に着くと、たくさんの園児達が庭で遊んでいた。

「あ、コメットさんだ」

「コメットさんだ」

とその中の2人がよってきた。

ツヨシ君。ネネちゃん、あのあとメテオさんがここに来なかった?

「コメットさん、どうしてそれを知ってるの?」

「知ってるの?」

やっぱり来たのね。メテオさんを探してるの。どっちへ行ったのか知らない?

「エエトーあっちかな」

「ムークさんに乗ってあっちへ行ったよ」

ありがとう。じゃまたね!

「またね〜」

「またね」

「ひめさま、やれば出来るじゃないかボー」

わたくしが本気になればこれくらい簡単よ。ラバボー。次はどうしたと思う?

「ヒメさま自分で考えなきゃダメダボー。やっぱりひめさまとは違うボー」

当たり前でしょ!あ、ごめん。そうか、星力で元に戻せるかもしれないって

考えたかもしれないわ。ラバボー。星力を集めに行くよ

「はい、ひめさま。って今は朝ダボー。星はもう出てないボー」

大丈夫。あの太陽があるから。太陽だって立派な星の子の一つだもの

 そして私達はジャンプして星力を集め、星力で元に戻そうとした。

シュテルン!

「ヒメさま〜それはメテオさんの呪文ダボー。それでは星力使えないボー」

アラやだ。私ったら。ツイ習慣で。ではもう一度。エトワール!

 私はピンクの輝きに包まれた。が次の瞬間、

「戻ってないじゃないの〜!ン、声だけ戻ってる!でもこれじゃしょうがないか

ら元に戻すわ。エトワール!」

「星力じゃダメみたいだボー」

そうね。コメット達もこのあたりにはいないようだし一旦地上に戻るしかな

いわね。あ、声。元に戻ってる

 私達は再び地上に向った。

 

☆☆☆

 

ムークさん、こういう時ってメテオさんだったらどうすると思う?

「ヒメ様。恐らく星力で御自分を元に戻そうと考えられるかと

なるほど、そうね。ではわたし達も星力を集めに行くったら行くってよ!

て星出てないわね。どうしよう

「ヒメ様。大丈夫です。あの太陽から集められれば。太陽だって立派な星の子で

す」

そうだったわ。どうして今まで気づかなかったのかしら

「それはともかく、参りましょう」

 わたし達は雲の上に出ると、星力を集め、星力で元に戻そうとした。

エトワール!

「ヒメさま〜それはコメットさまの呪文です。それでは星力はお使いになれませ

ん」

アっそうか。間違えちゃった。ツイ習慣で。ではもう一度。シュテルン!

 するとわたしは緑色の輝きに包まれた。が次の瞬間、

「戻ってない!アレ、声だけ戻ってる!でもこれじゃしょうがないから元に戻す

わ。シュテルン!」

「星力じゃダメみたいですな」

そうね。メテオさん達もこのあたりにはいないようだし一旦地上に戻るしか

ないわね。あ、声。元に戻ってる

 わたし達は再び地上に向った。

 

☆☆☆

 

地上に戻った私は次にヌイビト達を呼んで、元の姿に戻ろうとした。服装と髪

の毛は元に戻ったものの、顔はそのままだったので、結局もう一度元に戻しても

らった。その後もあちこちコメット達を探したが見つからず、ふと時計を見た私

はある事を思い出した。

面会の時間だわでも今日はそんなことよりコメットを探す方が先よ

 そうつぶやいた私にラバボーがこう言った。

「ヒメさま。何を考えているのかボー」

ちょうど良かった。ラバボー。私、昨日たまたまカスタネット星国の人を助け

て病院に運んだの。今日お見舞いに行く約束をしているんだけれど。こういう時

コメットならどうすると思う?

「そりゃ行くに決まってるボー」

どうして?私を探さなきゃいけないハズなのに。それに今私はコメットの姿な

のよ

「ひめさまはお優しい方だボー。それでも行くと信じるボー」

ラバボー。わかったわ。私、病院へ行くわ

「メテオさんエライ、本当のひめさまみたいだボー」

 私達は病院へ向った。

 

☆☆☆

 地上に降りたわたし達はメテオさん達をあちこち探したが、見つからなかった。

そこで、

ムーク、こういう時、メテオさんならどうすると思う?

とわたしはムークさんに聞いた。

「そういえば、メテオ様は昨日、カスタネット星国のネメシスという方を偶然助

けらたのです。その方が足を傷められたので、病院に運ばれましたが、胸の病気

がおありだとかで、大事をとって入院されることになったので、今日もお見舞い

に行かれる約束をされていました。もしかしたら、そこに行かれたのではないか

知らなかったわ。メテオさんって、やっぱり本当は優しいのね

「そのお方は今は身寄りもなく、たった一人で暮らしておいでです。コメット様、

メテオ様はひとりぼっちの方や寂しさをもった方を助けられる力をお持ちです。

きっとご自分も幼い時から寂しい思いをされてきたから、その方達のお気持ちが

お分かりになるのかもあ〜姫様!」

泣かないで、ムーク。こっちまで悲しくなっちゃうわよ。病院の場所はどこ?

「あっそうでした。こ、こちらです」

 わたし達は病院へ向った。

 

11/18 15:00

あれがそうよ

 私達は病院のすぐ近くにまで来た。

「あ、メ、いやひめさまだボー。ボーの言った通りだボー」

 見ると、私そっくりの姿をしたコメットがドアを入るのがチラッと見えた。

コメットさん、どうしてここに来たのかな。え、コメットのくせがうつっち

ゃったじゃないの!

「ヒメさま。そんなこと言ってる場合じゃないボー。早く中に入るボー」

そうだね。あ、また〜私達はコメットの後を追って病院の中に入った。ー

☆☆☆

 病院に着いたわたしはナースステーションでネメシスさんの病室を聞いた。

203号室。ここね。こんにちは、ネメシスさん。メテオです

 わたしがドアをノックして言うと、

「まあ、メテオ様。本当にいらして下さったんですね!どうぞ、お入り下さい」

とドアが開いて、かなり年をとっているが、優しそうな婦人が顔を出した。

失礼するわわたしは中に入り、用意した花束を渡した。

「どうもありがとうございます。メテオ様。助けて頂いた上にこんなことまで

いいのよ。カスタネット星国の王女として当然の事ですわ。それより、わたく

しの友人のコメット王女がここに来ませんでした?

「いいえ、メテオ様。昨日あなた様が帰られてからここには誰も来ておりません

が」

そう

とわたしが言いかけた時、

ネメシスさん、こんにちは。メテオさんの友達のコメットです。いらっしゃい

ますか?とドアの向こうで声がした。

「どうぞ。コメット様。メテオ様もお待ちですよ」

(ムークさんの言う通りだわ)

とわたしが思っているとドアが開いて、わたしそっくりの姿をしたメテオさんが

ネメシスさん、初めまして。ハモニカ星国の王女、コメットです。よろしくお

願いしますと言った。

「こちらこそ、初めまして。コメット様のことはメテオ様から色々お聞きしてま

した」

コメット、遅かったわね。わたし、あなたを探したのよ

(タマにはこういうの、言ってみたかった!スーっとしたわ)

そう、私もあなたを探したんだけれど、見つからなくて

(モ〜コメットったら!後で覚えてらっしゃい!!そうか、わかったわ。こうや

ってわたくしを人前でバカにする作戦だったのネ!)

(姫様、それは姫様がいつもコメット様にされていることでは〜でもコメット様

はお気になさらぬご様子〜)

(ムーク!どこ行ってたのよ!)

「姫様、それは後で。それより、姫様は本当にコメット様がそんな事をされると

お考えですか。今日ご一緒した限りではとてもそのようなことをされるとは思え

ませんが〜)

(確かに、今日はコメットの姿でしばらく街を歩いたけれど、コメットのことを

悪くいう人は誰もいなかったわ。それに引き換え、私の方は、あんまりよく思わ

れていないようね)

などと私が考えていると、

コメット!何ボーっとしてんのよ!今日どうしてわたくしがあなたをこ

こに呼んだかわかってるでしょ?早くヌイビト達を呼んで

あ、そっか。忘れてた〜。私が看護婦さんになってネメシスさんを治してあげ

ればいいんですよね

そうよ。ネメシスさん、足の具合はいかが?

「ええ。もう大分いいのですけれど、まだ少し痛みます。それより胸の病気が少

し悪いようなので、退院出来るまで少し時間がかかると思います」

ネメシスさん、用意が出来ました。まず足の方から治しますので

看護婦の姿になった私がちょっと不安そうに言うと、

大丈夫よ。コメット。あなたならきっと出来るわ。この前もツバメを治してあ

げたじゃないの

とコメットの優しい声が聴こえた。私はハッとして思わず、

メテオさん

とつぶやいた。

「コメット様。ここなのですが」

わかりました。ススっとやっちゃいますね

 私は必死でコメットがツバメにした通りにしてみた。すると、ネメシスさんの

顔が一瞬変わったことに気付いた。

次は胸ね。どこが苦しいんですか

「この辺りです」

 私が再び手をあてると、ネメシスさんの顔が驚きの表情に変わった。

ハイ。これでおしまい。いかがですか

「もうすっかり良くなりました。ありがとうございます、メテオ様」

エ、どうしてそれを

と思わず言ってしまった私に、

「さっき、触れられた手の輝きは明らかにカスタネット星国、メテオ様のもので

した。でも、どうしてコメット様のお姿に?」

 それを聴いた私は体の緊張が一気に抜け、思わずネメシスさんに抱きついて泣

いてしまった。

わたしからお話しします。実は

 わたしとメテオさんは今朝からの出来事をネメシスさんに話した。

「そうですかそれはお2人とも大変でしたわね。ご両親には話されましたか」

いえ、まだあっメテオさん、その手があった。ティンクルホンでわたしの母

に電話して。『お悩み解決ビト』を呼んでもらうから

お悩み解決ビト?

困っている時に助けてくれるの。メテオさん、最初はあなたがかけてね。番号

はこれよ

わかったわ。あっもしもし、お母さま。え?ーコメット、あなたに代わって

って。どうしてわかったのかしら

 ティンクルホンを渡しながらメテオさんは不思議そうに言った。わたしが電話

に出ると、

「あ、コメット。その声はどうしたの。何か困ったことが起きたのでしょ」

と母は言った。

実はとわたしがこれまでの事を話すと母は

そう。それは大変だったわね。あなたの様子はここから大体わかってたわよ。

そろそろあなたから電話がかかってくる頃だと思ってたわ」

とやさしく言ってくれた。わたしは思わず泣き出しそうになるのを押さえながら、

お母さま、お悩み解決ビトを送って欲しいの

「そうあなたが言うと思ってもうそちらに向けて出発させたわ。もうすぐそちら

に着く頃よ」

ありがとう。お母さま。でも、最初に電話に出たのがどうしてわたしじゃない

ってわかったの?わたしそっくりの声なのに

「もちろん、あなたの母親だからよ。あなたもそのうちわかるわ」

とちょっと得意そうに母は言った。

お母様ったら

「また何か困ったことがあったら言ってね」

そう言って電話は切れた。

お悩み解決ビト、もうすぐ来るって。母がもう出発させた、って言ってたわ

もう?とメテオさんが言いかけた時、窓の外にキラっと光るものが見えた。

来たみたい。わたし、迎えに行って来ます

コ、コメット。どうも手際が良すぎるわ。何か変よ

 走っていくわたしの後ろで、メテオさんがそうつぶやくのが聞こえた

 「な〜るホド。コメット様がおやすみになられたのが午前3時近く。メテオ

様はその前で、お2人とも起きられたのが8時前ということですな。お2人のお

話しはよくわかりました」

それで、原因は分かったの?とわたしが聴くと、

「ええ、まあ、このお悩み解決ビトに解決出来ない問題はございません。これは流れ星の影響による『輝き交替症』でしょうな」

輝き交替症?

「ひめさま。明日の午前2時から4時にかけてしし座流星群は極大を迎えます」

極大?

「そう。星が最も多く流れる時間のことです。非常にまれなことではあるのです

が、実は私達、星国の者は流れ星が非常に多くあると、その星力の影響を受けて、

輝きが不安定となり、時には他の人と輝きが入れ替わってしまうことがあるので

す。お互いの年令や性格等が近い場合に限られるようですが

でも、わたくしとコメットは全然違うじゃないの!わたくしはカスタネット星

国、コメットはハモニカ星国の人よ。服装や髪型、声だってそれに性格も全然

違うじゃないの!

「お言葉ですが、メテオ様。お2人はメテオ様がおっしゃる程違ってはいらっし

ゃらないと思います。お2人とも年令や体型はほぼ同じ、星国の王女であられま

す。それぞれ星力をお使いになり、ラバボー、ムークというお供がいらっしゃい

ますし、地球にタンバリン星国の王子様を探しに来られたのも同じ。そしてお2

人がここにいらっしゃることが何よりの証拠でございます!」

どういうこと?

「コメット様。ひめさまはどうしてここに来られたのですかな?」

それは〜わたしがもしメテオさんだったらどうするだろう、ってずっと

考えていたら、ここに来たんだけれど

「メテオ様は?」

私も同じよ。私がもしコメットだったらどうするだろうって考えていた

ら、ここに着いたわ

と、いうことは、お2人とも結局同じ事を考えていらしたのですな

この言葉にわたしはハっとして確かに、そうだわと言った。

「まあ、それはともかく、お2人が元の姿に戻られるためには方法はたった一

つしかございません

え!!元に戻れるの!!

、そのためだったら何でもしちゃいますわったらしちゃいますわ!

 わたし達は嬉しさのあまり、飛び上がって叫んでしまった。

「お、お2人とも 、お気持ちはわかりますが、ここは病室でございます

あらヤダ!わたくしとしたところが。ごめんなさい。ネエ早く2人が元に戻る

方法を教えてったら教えて〜

「わかりました。メテオ様。それはまず、『2人の輝きを完全に一つにする

こと』です」

輝きを一つにする?

「そうです。コメット様。約11時間後にしし座流星群の最初の極大が来ます。

その星力を借りて、輝きを一つにするのです」

どうすればいいの?

「今夜11時頃から星が流れ始めます。少し練習した方が良ろしいと思いますか

ら、その時にご説明します。コメット様」とお悩み解決ビトは言った。

 

11/18  23:00

 わたし達はネメシスさんに別れを告げると星空の下に飛び出して行った。

あっ、流れ星!

とわたしが言うと、

「どうやら星が流れ始めた様子。ひめさま。出来るだけ高い所まで、行って下さ

れ」

とお悩み解決ビトが言った。

この辺りでいい?

 成層圏に達した頃、わたしは聞いた。

「ハイ。ここまで来ればよいでしょう」

あっ、また星が流れたわ。お悩み解決ビト、わたし達はどうすればいいの?

「ひめさま。まず星力をお集め下さい」

 わたし達は星力を集めた。

「次に、少し離れてお立ちになり、合図と共にお2人が同時にバトンをお相手の

方に投げて飛び上がり、お互いの手を合わせます。その時、流れ星の星力が十分にあり、かつ、お2人のお気持ちが全く一つになっていれば、お2人の輝きが完

全に一つとなるハズです。でも、少しでもタイミングがズレたり、星力が十分に

ないと、輝きが完全には一つとなりません。極大にはまだ十分時間がありますか

ら、まず一度試してご覧になって下さい」

わかったわ。メテオさん、イイ?

いいわよ。コメット

それじゃ、1、2、の3、でいくわ1、2、の3、エトワール!あ、

ごめん。まだメテオさんの姿のままだった。もう一度いくわ1、2、の

3、シュテルン!エトワール!キャッ!コメット、何やってんのよ!

ぶつかっちゃったじゃないのよ!

ごめんなさい。思ったより難しいのね

そうネ。コメット。でもやるしかないワ

と言ったメテオさんの顔は真剣だった。

 

11/19  1:00

 それから約2時間が過ぎた。流れ星の数は大分増えてきていた。しかし、わた

し達はまだタイミングをうまく合わせることが出来なかった。

あちゃ〜ま〜た失敗!メテオさん、わたし達ってやっぱり一つにはなれ

ないのかな

何言ってんのよコメット!あなたらしくないわ。このままの姿でいたい

の?私はゼ〜ッタイ、イヤだわ

その時、

おまえ達、何やってんだ。もっと相手のことをよく見ろよ。おまえ達は

自分の力で相手に合わせようとしてただろ。それじゃダメなんだ。相手の

輝きを信じ、自分を相手にまかせるんだ。ちょっとコワイかもしれない

でも大丈夫。オレだって最初はそうだったんだから

という、あの懐かしい声が聴こえた。

ケースケ!ケースケなのね!心配したわ

「オレは大丈夫。オレもおまえ達の輝きを信じるから、頑張れよ」

その時、ひときわ明るい星が流れていった。

ケースケ〜!

 わたし達の中で何かが変わった。

じゃあ、もう一度行くよ

とわたしは言った。そしてメテオさんめがけて飛び出した。

やった!

 その時、初めて2人のタイミングが合い、手をピタリと合わせることが出来た。

コメット、やっとわかったわ。このタイミングね

ええ。少し休みましょ。極大まではまだ1時間くらいあるわ

 既にたくさんの星が流れる中、わたし達は一旦地上に向った。

 

2:00

 わたし達は再び星空にまい上がった。ラバボーに乗ったメテオさんのバトンか

らはピンク色の星力が上に伸びて、星力を集めるのに最も適当な場所を教えてくれていた。

きれい

 明るい星が次々と目の前を流れていく中には火の玉のように見えるものもあ

った。

コメット。流れ星を見ている場合じゃないわよ。もうすぐ最初の極大だ

わ。星力を集めましょ

そうだったわ。そろそろ始めましょう

 わたし達はバトンを合わせると言った。

幾千億の星の子達。わたしに力を下さい。流れる星の輝きをひとつの輝

きにして

 すると、いつもよりはるかに多くの輝きが集まってきた。わたし達のバトンは

白く輝いた。

星力、足りそうね

ええ、メテオさん

 わたし達は再び向かい合った。

コメット。そろそろ極大の時間よ。用意はいい?

ええ、いいわ

 わたし達はお互いを見つめると、呼吸を整え、相手の心に意識を向けた。する

と、お互いの心が一つにつながったのを感じた。

(今だわ)

幾千億の星の子達。キラ星の輝きを。あまたの力を。そして流れる星の

輝きを。どうかわたしの星力に変えて

シュテルン!

エトワール!

 わたし達はバトンを投げると、飛び上がった。そして2つのバトンが交差した

下で、互いの手を合わせた。その時、2人の体が白く輝き、2人の輝きが一つに

なるのを感じた。

やったわ!

 わたしは落ちてきたバトンをとって、言った。が次の瞬間、

あれ、これはメテオさんのバトン、せっかく2人の輝きが一つになった

のに、戻ってないじゃないの〜

とわたしは自分の姿を見て言った。

「ウ〜ン。やはり星力が少し足りなかったようでございますな」

お悩み解決ビト!輝きが一つになったのに、どうして元に戻れなかった

の?

「それは、お2人が元に戻られるためには、それまでのご自分を超える必

要があるからでございます。お2人は日々成長されています。今日のひめ

さまは昨日のひめさまとは違うのです。先程は星力が少し足りなかったた

めに、反対側ではなく、ご自分の元いらした場所に戻られただけだったの

です。次の極大には今の4倍位の星が流れると思いますから、今度こそ大

丈夫だと思います。ひめさま、今度輝きが一つになったら、勇気を持って

それまでの御自分を飛び越えて下さい」

わかったわとわたしは確かめるように言った。

 

3:30

 ついに最後の極大の時が来た。星は雨のように流れていた。わたし達が星力を

集めると、わたし達のバトンは先程より更に強く輝いた。

メテオさん、今度は大丈夫そうね

ええ、コメット。でもこれが最後のチャンスよ。失敗は許されないわ

わかってる。用意はいい?

ええ、いいわよ

 わたし達は再び向かい合うと、心を合わせてこう言った。

幾千億の星の子達。キラ星の輝きを。あまたの力を。そして流れる

星の輝きを。どうかわたし達の星力に変えて。エトワール!・シュテ

ルン!」

 わたし達は思いきっリバトンを投げると、相手に向って飛び込んだ。そして2

つのバトンが交差した下で、互いの手をピタリと合わせた。その時、2人の体が

白く先程より強く輝き、2人の輝きが一つになるのを感じた。(今だわ)わたし

達はすぐに手を離し、そこから更にジャンプし、落ちてきたバトンをとって、反

対側に降り立った。

「やったわ!!元に戻ってる!」

 わたし達は言った。そして次の瞬間、わたし達はお互いをしっかりと抱きしめ

ていた。

「メテオさん

「コメットやったのよ、私達」

「メテオ様〜ひめさま〜

「ムーク!ラバボー!」

2人とも涙がとまらなかった。

☆☆☆

 

4:00

 「もしもし、コメットのお母さん、どうやらうまくいったようね」

「ええ、メテオさんのお母さん。でも2人の輝きを入れ替えたのは私達なのに、

まさかあの2人があそこまでやるとは思わなかったわ。メテオさん、素敵に成長
されましたね」

「そちらこそ。それに、あの流れ星の力がなければ2人の輝きを入れ替えること

も出来なかったし」

「お母様!どうもおかしいと思ってたら、やっぱりあなた達だったんです

ね!コメットはだませても、私はだまされませんよ!どうしてこんな事を

したの!」

「そ、それはメテオ、後で分かるわ。自分がどう変わったか考えて見なさい

ゃあね」

「チョット!待ってよ〜」

その時ひときわ大きい星が2つ流れていった

 

第7章「星の絆2に続く

 

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