唇を守れ
(ウ〜ン!でもやはり、ここは消費者の安全を第一にしよう)
そう思った輝きの求道者は
「吉田審査官。やはり君の言う通り、回収命令を出そう、何かあったら全
責任は私がとる」
と言った。
「わかった。でもこの責任は私にもあるよ。会社の協力さえ得られれば今
日中には店頭からの回収作業は終わると思う。もちろん、回収命令が出次
第、マスコミ等にも手を回して既に消費者が購入したものの回収も進める
けど〜こっちは数日かかると思うけど〜」
「よろしく頼む。あ、それから〜」
「あ、ご免。サンプルも出来るだけ早くそちらに届くように手配しよう。
これからすぐに担当官に他のロットと店頭からのサンプルを持たせて行か
せるから今夜には届くと思う。じゃ〜また」
「申し訳ない。じゃ〜また」
それからすぐに回収命令が出され、テレビやインターネット等を通じて
この製品を使わないように呼びかけられた。エトワールの社長も回収命令
が出されると、意外とあっさり協力姿勢に転じ、その日のうちに店頭から
の回収作業は終了した。そして既に購入された製品の回収も順調に進み、
明日中にほぼ回収を終える見込みがついた。これらの迅速な措置が効を奏
したのか、幸いにも被害者は一人も出なかった。
だが、結局他のロットからも、回収した製品からも、Red413は検出さ
れず、なぜあのサンプルからRed413が検出されたのか、わからなかった。
幸いにも被害者が出なかったこともあり、マスコミにあまり注目されるこ
とはなかったが、それから間もなく、吉田主席査察官は九州の検疫所に左
遷され、輝きの求道者は他の部に配置換となった。しかし、今でも輝きの
求道者はあの判断は正しかったと信じている―。
■この作品は簡易創作グループのホームに提出されたものです。よろしければ、技能向上のためのご意見をください。
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